【講義概要】
本講義「簿記中級」では、日商簿記検定2級商業簿記レベルに相当する会計処理を学び、企業活動の実務で求められる帳簿作成と財務諸表の理解を深めることを目的とします。商業簿記における商品売買や決算整理の基本を再確認しながら、株式会社会計や引当金、固定資産の特有処理など、より複雑な論点を体系的に扱います。これにより、財務会計の仕組みを一段階ステップアップさせ、簿記を使って企業の経営を多面的に把握できる力を養います。
前半の講義では、「簿記初級」で培った知識をベースに、売上原価の算定や決算整理仕訳の正確性を高める演習を行います。特に、債権債務管理、受取手形・支払手形の詳細処理、貸倒引当金の計上方法などを再点検し、実務で生じる様々なケースに対応できる応用力を身につけます。あわせて、株式会社が資金調達や配当の過程で行う会計処理(新株発行、剰余金の配当に関する処理など)を学び、貸借対照表上の純資産部の構造を正しく理解することを重視します。
中盤から後半にかけては、棚卸資産や固定資産の特別な論点(貸付金利息付きでの手形割引、固定資産除却損、減価償却累計額の振替など)を詳しく学習します。例えば、有価証券の評価替えや、引当金と準備金の扱いといった多岐にわたる会計処理を正確に行う力を培い、財務諸表に反映される影響を把握できるようになることがポイントです。また、伝票会計や部門別会計の基礎的な考え方にも触れ、企業内部での情報管理に寄与する商業簿記の応用範囲を再認識します。
最終的には、日商簿記検定2級の商業簿記分野で要求される重要論点を取り扱い、試験問題への対策だけでなく、実務の視点からも財務状況を見通すスキルを身につけることを目標とします。帳簿の正確な記帳に加え、計算結果を読み解き、経営判断へのフィードバックをイメージできる力を養う点が本講義の特徴です。
なお、この授業は、本学のディプロマ・ポリシー【知識・技能】のうち「情報収集・分析力、論理的思考力等の技能を身に付ける」ことを主な目的としています。
【学習到達目標】
1. 日商簿記検定2級商業簿記レベルの重要論点を理解する
株式会社会計や引当金、固定資産、棚卸資産などの複雑な会計処理を正確に行い、財務諸表に反映できる能力を身につける。
2. 高度な決算整理・帳簿作成手順を習得する
資本金の増減、配当、貸倒、減価償却など、実務でも重要な論点を正確に処理し、複数の帳簿や伝票システムにも応用できる知識を得る。
3. 財務諸表から経営実態を読み解く視点を獲得する
帳簿の数字を単に計算するだけでなく、企業の財政状態・経営成績を判断し、管理業務や経営判断に活かす基礎力を高める。
【履修上の注意】
1. 日商簿記検定3級レベルの前提知識
「簿記初級」を履修済み、または日商簿記検定3級程度の理解があることが望ましいです。仕訳や勘定科目の基礎が不十分だと講義の理解が難しくなる可能性があります。
2. 演習重視の授業運営
各回の講義で扱った論点は、すぐに演習問題に取り組むことで理解を深めることができます。ノート(タブレット端末での代用可)と電卓を忘れずに持参し、細かな計算ミスにも注意しながら進めてください。
3. 欠席・遅刻への注意
本講義は段階的に内容が難しくなるため、一度欠席すると理解が遅れやすくなります。やむを得ない事情の場合は、早めに学習仲間や担当教員から内容を補填しましょう。私語や規定時間以上の遅刻・途中退席等、授業態度不良者とみなした場合は失格とすることもあるので、注意してください。
【事前準備学習】
事前学習: 講義予定範囲を教科書でチェックし、前回までの内容を軽く復習してから臨むことで、スムーズに新しい論点へ進めます。仕訳や帳簿記入の基本ルールを再確認し、初歩的な計算ミスが生じないよう準備しておくことがポイントです。
事後学習: 講義後は配布された演習問題やワークブックの類題を解き直し、理解のあいまいな部分を確認してください。特に株式会社会計や引当金の計上は複雑な手順を伴うため、丁寧に繰り返し練習が必要です。また、試験対策として過去問題や予想問題にもチャレンジし、実践的な力を高めましょう。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
| 教科書 | 『検定簿記講義/2級商業簿記〈2024年度版〉』 渡部裕亘・片山覚・北村敬子 編著 中央経済社 2024年 『検定簿記講義/2級商業簿記〈2024年度版〉』は日商簿記2級商業簿記の主要論点を網羅し、最新の出題傾向にも対応しています。株式会社会計や複雑な決算整理の処理など、初級レベルからステップアップした内容が豊富に収録されています。章末の確認問題や模擬問題を解くことで、実践的な力を身につけやすい構成です。図表も多く、複雑な会計処理をビジュアルで把握できます。 |
| 参考書 | 『検定簿記ワークブック/2級商業簿記』 渡部裕亘・片山覚・北村敬子 編著 中央経済社 2024年 『検定簿記ワークブック/2級商業簿記』は、2級商業簿記の問題形式や難易度に慣れるのに最適な教材です。実際の試験を想定した制限時間内での演習を重ねることで、計算スピードや正答率を高められます。解説部分には重要な公式や仕訳のテクニックが掲載されているため、テキストで理解を深めつつ、ワークブックを通じて抜け漏れを補完できます。 |
| 指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
1. 定期試験(40%)
日商簿記検定2級商業簿記レベルの重要論点を中心に出題し、仕訳・決算整理・財務諸表作成などの簿記一巡の流れを総合的に評価します。
2. 演習課題・確認テスト(40%)
講義内で行う演習問題および確認テストを総合的に採点します。論点の正確な理解を重視します。
3. 平常点(20%)
授業への参加態度や質疑応答への積極性などを総合的に判断します。
【講義テーマ】
| 回数 | テーマ | テーマURL |
| 1 | オリエンテーション | |
| 2 | 簿記初級の復習 | |
| 3 | 商品売買と売掛金・買掛金の応用処理 | |
| 4 | 手形取引の深化:割引と不渡りの詳細 | |
| 5 | 貸倒引当金・修繕引当金などの引当金処理 | |
| 6 | 棚卸資産の評価と在庫管理手法 | |
| 7 | 固定資産の取得・減価償却・除却の応用 | |
| 8 | 株式会社会計(1) 資本金・剰余金と配当処理(オンデマンド講義) | |
| 9 | 株式会社会計(2) 社債発行と株主資本等変動 | |
| 10 | 引当金・準備金の総合演習 | |
| 11 | 決算整理(1) 前払前受・貸倒などの見越し繰延べ | |
| 12 | 決算整理(2) 精算表と財務諸表作成の詳細 | |
| 13 | 税効果会計 | |
| 14 | 部門別会計・伝票会計の基礎 | |
| 15 | 連結会計 | |
| 16 | 定期試験期間 | |