【講義概要】
本講義「原価計算システム論」では、経営管理システムの一部としての原価計算に焦点を当て、企業の意思決定における役割と活用方法を学びます。「原価計算基礎論」で修得した管理会計的な原価計算の概念や手法を前提とし、それらを実務の現場でどのようにシステム化して運用するかに焦点を当てる科目です。原価計算は、単なる費用計上の手段ではなく、経営戦略を支えるための重要なツールです。本講義では、原価計算システムがどのように企業の競争力強化や利益向上に寄与するか、経営戦略にどのように組み込まれていくかを理解します。
前半の講義では、原価計算システムが企業の経営管理においてどのような役割を果たすかを確認し、その後、原価計算手法を確認します。さらに、原価計算基礎論の復習を兼ねつつ、企業が原価情報をシステム化する意義とメリットを明確化します。たとえば、部門別や製品別のコスト情報をリアルタイムに取得することによって、意思決定のスピードや正確性が大きく向上する仕組みを具体的に考察します。原価計算がどのように戦略的意思決定や日々の業務改善に利用されるのかを学び、実務で必要となる能力を養うことができます。
中盤以降は、原価計算を経営戦略の中でどのように活用するか、そして経営管理システムとしての原価計算に関連する事例を多く取り上げ、原価計算情報がどのように企業の意思決定を支え、競争力の強化に貢献するのかについて理解を深めます。また、本講義では、原価計算にまつわるデータの収集・分析手法や、基幹システム(ERPなど)との連携などの経営管理システムに関連する最新動向についても紹介します。
なお、この授業は、本学のディプロマ・ポリシー【思考力・判断力・表現力】のうち「実社会で生起する様々な課題を正確に理解し、それぞれの学問領域に即して解決策を考える」能力を養うことを主な目的としています。
【学習到達目標】
1. 原価計算システムが経営管理システムの一部として機能することを理解する。
2. 主な原価計算手法(標準原価計算、ABC活動基準原価計算など)の特徴と活用方法を学ぶ。
3. 経営戦略における原価計算の役割を理解し、実務における意思決定にどう活かすかを学ぶ。
4. 原価計算システムが企業の競争力強化にどのように貢献するかを実務事例を通じて学ぶ。
【履修上の注意】
1. 前提科目: 「原価計算基礎論」で学んだ管理会計的な原価計算の概念を理解していることが望ましいです。基礎的な原価計算手法やコスト概念(変動費・固定費、活動基準原価計算など)を復習しておくと、講義をスムーズに進められます。
2. 実務事例との関連: 講義では、実際のERP導入事例や企業の原価管理システム構築事例を数多く紹介します。演習や事例検討の場面では、課題への自主的な取り組みやグループディスカッションに積極的に参加してください。
3. 遅刻・欠席に注意: 本講義は段階的に内容が難しくなるため、一度欠席すると理解が遅れやすくなります。やむを得ない事情の場合は、早めに学習仲間や担当教員から内容を補填しましょう。私語や規定時間以上の遅刻・途中退席等、授業態度不良者とみなした場合は失格とすることもあるので、注意してください。
【事前準備学習】
事前学習: 「原価計算基礎論」の履修者はノートや資料を再確認し、重要論点を復習をしておくとスムーズに学習が進みます。
事後学習: 各回の講義内容を復習し、実際にどのように企業経営に活用できるかを考えながら学びを深めてください。特に、実務での意思決定における原価計算の活用方法を意識し、学んだ内容を自分なりに整理することが重要です。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
| 教科書 | 『管理会計のエッセンス(原著第7版)』 ワシントン大学フォスタービジネススクール管理会計研究会・訳 同文舘出版 2022年 『管理会計のエッセンス(原著第7版)』は管理会計分野への入門として、理論と具体的な事例をバランス良く取り上げています。原価計算の基本構造から始まり、コスト分析や差異分析といった応用までをカバーしており、経営意思決定で原価情報をどのように活かすかがわかりやすく解説されています。演習問題も要所に配置されているため、授業外の自習にも最適です。進めると理解が深まります。 |
| 参考書 | 『Excelで学ぶ原価計算』 長坂 悦敬 著 オーム社 2009年 『Excelで学ぶ原価計算』はExcelを使って、企業経営、商品・サービス提供において、たいへん重要な要素のひとつである原価(製品をつくるためにかかったお金)の計算方法とその意義、企業経営との関わりについてわかりやすく学ぶことができる実用書です。対象のExcelバージョンが2007年と古いため、授業ではスライド等で適宜補足説明を行います。 |
| 指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
1. 演習課題・分析レポートの提出(60%)
原価計算理論や管理会計的分析手法の理解度を確認するための課題や、経営管理システムにおける原価計算の役割や重要性の理解を深めるためのレポートを出題します。
2. 平常点(40%)
授業への参加態度や質疑応答への積極性などを総合的に判断します。
【講義テーマ】
| 回数 | テーマ | テーマURL |
| 1 | オリエンテーション | |
| 2 | 原価計算システムの基本概要 | |
| 3 | 原価計算の基本的な手法とその役割 | |
| 4 | 部門別原価計算と利益分析 | |
| 5 | 標準原価計算の活用法と差異分析 | |
| 6 | 活動基準原価計算(ABC)の導入と活用 | |
| 7 | CVP分析(損益分岐点分析)による経営判断 | |
| 8 | 予算編成と原価計算システムの連携(オンデマンド講義) | |
| 9 | 直接原価計算と短期的意思決定 | |
| 10 | ターゲットコスティング(原価企画)の活用 | |
| 11 | 製品別利益分析と原価管理の戦略的活用 | |
| 12 | コスト削減の手法とその経営戦略への影響 | |
| 13 | 原価計算システムと企業戦略の関係 | |
| 14 | 企業の成長戦略と原価計算の関係 | |
| 15 | 実務事例:原価計算システム導入事例 | |
| 16 | 定期試験期間 | |