【講義概要】
スーパーでよく見かける北海道産の野菜や牛乳が生産者(メーカー)から消費者へ届くまで、トラックのほか、船舶という運送手段によって北海道から全国各地に送られてきます。私たちの生活に欠かせない生活必需品の多くが、日本国内・世界各国から、トラック、船舶、飛行機といった運送手段を用いて私たちの手元へ届いています。その中でも、小麦、大豆、石炭、原油、LNG(液化天然ガス)、衣類などは、輸入依存率が高く、このような原料や輸入製品の大半は「船舶による海上運送」によって、日本国内に送られています。みなさんに身近なトヨタ自動車も、自動車専用船という船舶によって世界へ送られていきます。このごろは航空機による運送も増えつつありますが、日本の貿易取引の99%以上は依然として海上運送が占めています。
そこで、この講義は、メーカーから消費者までの一連の物流の過程を理解してもらい、そこにかかわる倉庫業、運送業(陸上運送、海上運送、航空運送)に関連する法律(商法、海商法、国際海上物品運送法)の基礎的知識を身につけることを目標とします。なお、2018年には、商法の運送・海商規定について商法制定から120年ぶりの大きな改正が行われました。講義では、どのように変わったのか、改正前と改正後の内容についてわかりやすく解説します。
なお、本講義は、法学部カリキュラム上の「商事法科目」に該当し、ディプロマ・ポリシーに掲げられている基礎的知識の修得を目指します。
【学習到達目標】
・国内外における売買契約と運送契約との基本的な仕組み、流れを理解すること。
・法制度の歴史を知り、その趣旨・内容に対する理解を深めること。
・法改正の内容を正しく理解すること。
【履修上の注意】
・毎回の講義では、教科書のほか、紙媒体の六法を使いますので必ず持参してください。
・商法の意義など商法に関する基礎的な知識は、「商法総則・商行為法」の履修で身につけてください。
【事前準備学習】
・講義前は、講義テーマやレジュメ内容に関するテキストの当該箇所を一読すること。
・講義後は、講義で扱った内容を中心に復習すること。また補足資料の配布がある場合は、補足内容についても復習すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『現代海商法(第5版)』 箱井崇史 成文堂 2024 ・授業では、レジュメを配布します。また、関連資料や判例も適宜配布します。 |
参考書 | 『海商法(第2版)』 中村眞澄=箱井崇史 成文堂 2013 『商法判例百選』 神作裕之・藤田友敬編 有斐閣 2019 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
・平常点20%、小テスト20%、定期試験60%
評価方法の詳細については、第1回目の授業で説明します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス:海商法とは | |
2 | 運送営業総論 | |
3 | 運送営業①:物品運送契約 | |
4 | 運送営業②:物品運送人の責任 | |
5 | 運送営業③:物品運送人の不法行為責任 | |
6 | 倉庫営業 | |
7 | 海商法総論 | |
8 | 船舶運航の主体と補助者 | |
9 | 海上物品運送契約の意義と種類 | |
10 | 船荷証券の意義と発行 | |
11 | 船荷証券の効力 | |
12 | 国際海上物品運送法概説 | |
13 | 堪航能力 | |
14 | 海上物品運送契約の履行 | |
15 | 海上物品運送人の責任制限と免責 | |
16 | 定期試験期間 | |