【講義概要】
久屋大通にあるテレビ塔の全高の2倍の長さを持つ船舶が海で座礁したり、他の船舶と衝突するなどした場合、どのような法律問題が生じるでしょうか。海商法(商法第三編)は、船舶による海上活動を対象としますが、その特殊性から陸上世界を対象とする法にはみられない法制度が存在しています。また、船舶は国境をまたいで活動しているため、100年以上前から国際的な法の統一が図られてきており、海商法は国際性の高い法領域ともいえます。この演習では、国際性を持つ海商法の分野から、ニュースや新聞記事で報道されている国内外の船舶事故事例を題材として取り上げます。海上運送に限らず、陸上及び航空運送における事故事例も取り上げながら、運送分野に関連する法律(商法・海商法、国際海上物品運送法)や条約における基礎的な知識の学習を目標とします。
授業では、グループに分かれて(または個人で)関連資料の調査を行い、プレゼンテーション(またはレジュメ)を作成し、報告してもらいます。法学についての基礎知識の習得を前提に、船舶などの事故から生じる法律問題に関連する法制度の趣旨・内容を理解し、その解決策を探りながら、法的な思考力を培うことを目指します。
なお、本演習は、法学部ディプロマ・ポリシーのうち、「現代社会の法問題を解決するために、多様な視点から法的分析を加える」こと、「他者との議論を通じて、他者の意見を理解し、自らの法的な見解を述べる」ことを目的とします。また、カリキュラム・ポリシー上の「グループワークやプレゼンテーションなどを通して、講義科目で修得した知識の定着を図る」ことを目指します。
【学習到達目標】
・運送分野関係の法律(商法・海商法、国際海上物品運送法)及び条約に関する基礎知識を習得すること。
・法的な視点や思考力を培うこと。
・プレゼンテーションを通じて、話す・伝える・聞く力を身につけること。
・法律文書の読解力、書き方を身につけること。
【履修上の注意】
・報告テーマは、2回目の授業にて指定しますが、受講者が選定することも可能です。
・指定テーマについてグループごとにプレゼンテーションによる報告をしてもらい、全員で議論します。
毎回の授業では、一人ずつ発言してもらいますので、積極的な参加を心がけてください。
【事前準備学習】
・配布資料がある場合は、事前に熟読してください。
・グループ(個人)ごとに割り当てられたテーマについて調査・資料作成など事前の報告準備が求められます。
・資料作成においては、過去の新聞記事やオンラインでの資料調査が必要となります。大学図書館のデータベースを積極的に活用してください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | ・参考書は、授業時に適宜紹介します。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
・平常点100%
グループワークへの参加態度、報告資料の内容、議論への参加態度を総合的に評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス、自己紹介 | |
2 | 日本の海運、グループ分け・分担決め | |
3 | 報告に必要な基礎知識についてレクチャー①:海商法 | |
4 | 報告に必要な基礎知識についてレクチャー②:国際海上物品運送法 | |
5 | 報告に必要な基礎知識についてレクチャー③:海商法の国際的統一 | |
6 | 資料検索と引用方法について | |
7 | プレゼンテーションの作成/報告する時の注意点について | |
8 | 報告①:COUGAR ACE号海難事故 | |
9 | 報告②:MOL COMFORT号沈没事故 | |
10 | 報告③:スエズ運河EVER GIVEN号座礁事件 | |
11 | 報告④:モーリシャスWAKASHIO号座礁事件 | |
12 | 報告⑤:大島大橋貨物船衝突事故 | |
13 | 報告⑥:関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故 | |
14 | 報告⑦:日本航空516便と海上保安庁機の衝突事故 | |
15 | 演習の振り返り | |
16 | 定期試験期間 | |