【講義概要】
1980年代後半から、日本で生活する外国人が増えてきた。不況や東日本大震災の影響で若干数は減った後、再び増加した。2019年度は人手不足解決のため、「特定技能」というビザを設け、外国人材の導入をはかった。2020 年度はコロナ禍の影響で、出入国が制限されたが、特定技能、技能実習生は入り続けた。2021年もコロナ過が続き、新規入国外国人は増えていない。しかし、コロナ禍前において、在留在日外国人の増加に伴い、日本社会は多文化社会となっていた。
そうした状況において、異なった文化的背景を持った人々の文化を尊重し、権利を保障し、共に生きるという「多文化共生」という理念・施策が重要になってきている。本講義においては、そうした多文化社会の現状、成立の歴史・背景を考える。そして、
多文化共生を妨げる差別・偏見を取り除けるか、を考える。
授業の予定は概ね、次のとおりである。
まず、在日外国人の概況を統計を通じて把握する。中でも近年話題になった入管法改正(2019、2023)の背景、技能実習生制度の問題点を見る。次いで、在日コリアン、結婚移民ーフィリピン人、ハーフについて、取り上げ、在日外国人について、理解を深めていく。そして、多文化共生について、説明する。そして、どうしたら、多文化共生を妨げる差別・偏見をなくすことができるかを考える。
なお、時間があれば、院生に来てもらい、黒人差別・アジアンヘイトについて、話を伺う。
※COC地域志向科目
【学習到達目標】
①受講生は日本における外国人の概況について、説明できる。
②受講生は在日外国人に対する差別や人権の蹂躙について、説明できる。
③受講生は多文化共生とは何かを理解し、その実現のため、何が必要か、説明できる。
【履修上の注意】
継続的に授業に参加すること。5回授業を欠席したら、授業を放棄したものとみなす。20分以上、遅刻したら、正当な理由がない限り、欠席とみなす。私語・途中退室禁止(トイレは除く)。授業中、携帯電話の使用は禁止。
【事前準備学習】
日ごろから在日外国人に関するニュース、新聞・雑誌記事を確認してほしい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『国際結婚と多文化共生―多文化家族の支援に向けて』 佐竹眞明・金愛慶 明石書店 2017 『在日外国人と多文化共生』 佐竹眞明編著 明石書店 2011 『在日外国人』 田中宏 岩波書店 2013 『フィリピン―日本国際結婚:移住と多文化共生』 佐竹眞明・メアリーアンジェリン・ダアノイ めこん 2006
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指定図書 | 『一覧』 |
【評価方法】
平常点30%、毎回、授業の後のミニッツ・ペーパーの提出70%。レポート、試験は行わない。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス イントロダクション | |
2 | 技能実習生 | http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan53-1.pdf |
3 | 入管法の改正(2019, 2023)をめぐってー特定技能、ウィシュマさん事件 | http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060307_2.html |
4 | 日本で生活する外国籍者: 概要 統計 在留資格 | |
5 | 在日外国人の事例 1.在日コリアン ①歴史・現状 | |
6 | 同 ②ヘイト・スピーチを考える | |
7 | 在日中国人 (中国人 お断りの店ーなぜそういうことをするのか、問いただす中国人) アジアンヘイト | |
8 | 結婚移民ー在日フィリピン人 ①増えた背景: 出稼ぎ・国際結婚 | |
9 | ②山村結婚 徳島の事例 | |
10 | ③ 徳島の事例 続き | |
11 | ハーフの生き方 1 | |
12 | ハーフの生き方 2 | |
13 | 多文化共生とは 背景 経緯 考え方 類似概念・・・人権 文化尊重 | |
14 | 多文化共生とは 黒人差別・アジアンヘイトとは(ゲスト) | |
15 | 多文化共生社会 差別をなくすために | |
16 | まとめ | |