【講義概要】
憲法は、民法や刑法に比べて、身近な存在ではないと感じている学生も多いのではないでしょうか。しかし、本当に身近ではないのでしょうか。例えば、「お前は国政について意見するな。したら逮捕するぞ。」と警察官に言われたらどうでしょう。また、「お前の親は農民だから子どものお前も農民以外の職は認めない。違う職に就いたら罰するぞ。」と役人に言われたらどうでしょう。そんな世の中は息苦しいですよね。実は、憲法に規定されている『人権』とは、普段は空気や水のような存在に感じてしまいがちですが、今のような事例をふまえて、その存在意義をあらためて検討してみると、なくてはならない重要なものだということが理解できるのではないでしょうか。
しかし、受講者の中には、「そんな話は昔の話でしょ。」という人もいるかもしれません。確かに、一つの見方をすれば、日本国憲法は過去の記憶を反省材料として記録しているともいえなくもありません。ですが、現在、本当に国家による人権侵害はなくなったのでしょうか? 例えば、無実の人が何らかの間違いで有罪になったり。ただ単に自分の意見を示したビラを配布した人が警察に逮捕されたり。このような事例を分析するためにも、そして、自分が人権侵害を受ける可能性がゼロではないことをふまえた上で、憲法に示される『人権』とは何かを、皆さんたちと再考していきたいと思います。
本講義はディプロマポリシーに於ける、
「知識・技能 1. 経済社会が抱えるさまざまな課題に対する関心と問題意識をもつことができる」、
「思考力・判断力・表現力 2. 政治や法とのつながりを理解し、経済社会を多面的に捉えることができる」、
の実現を目指す講義となります。
【学習到達目標】
①新聞やテレビのニュースで扱われる憲法関連の事例を理解できるようにすること。
②それらの事例をただ単に把握するだけではなく、自分なりの見解を含めた上で多角的に考察できるようにすること。
③日本国憲法が試験科目として必要とされる国家試験等を受験する予定の学生にとって、導入部分としての知識や考え方を身に付けるようにすること。
【履修上の注意】
授業中の私語は厳禁です。「自由とは、他人を害さないあらゆることをなしうること」(1789年、いわゆる「フランス人権宣言」)は法の基本です。他の学生の学ぶ権利を侵害する、授業中の私語に対しては厳しく対処します。
【事前準備学習】
次の予習の範囲を指摘しますので、事前に学習してください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『はじめの一歩 法学・憲法』 松原幸恵・榎澤幸広・飯島 滋明編 現代人文社 2020年 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
授業中に行うレスポンスシート(60点)と学期末テスト(40点)の総合点で評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 第1 回 イントロダクション | |
2 | 第2 回 憲法とは -尊属殺人罪違憲判決を手がかりにー | |
3 | 第3 回 憲法上の権利の種類と性質 | |
4 | 第4 回 包括的基本権(憲法13条) | |
5 | 第5 回 法の下の平等(憲法14条) | |
6 | 第6 回 表現の自由(憲法21条) | |
7 | 第7 回 思想・良心の自由(憲法19条) | |
8 | 第8 回 信教の自由(憲法20条) | |
9 | 第9 回 生存権(憲法25条) | |
10 | 第10 回 教育を受ける権利(憲法26条) | |
11 | 第11 回 人身の自由(憲法18条、31~40条) | |
12 | 第12 回 経済的自由権(憲法22、29条) | |
13 | 第13 回 参政権と国民主権 | |
14 | 第14 回 家族と憲法(24条) | |
15 | 第15 回 まとめ | |
16 | 第16 回 定期試験 | |