【講義概要】
都市は、人々の暮らしや労働、活動や休息、娯楽など、様々な行為の受け皿です。となると当然、人々の暮らしや活動が変化することによって、都市のあり方も変化していく必要があります。現代日本の都市空間を作っている原則は、「近代都市計画」と呼ばれ、1888年に公布された東京市区改正条例に始まるものとされています。当時の日本は、人口が増加し、子どもたちが沢山いて、大家族から核家族が増えていくような社会環境でした。そこから比較すると、現代日本は、人口が縮小し、超高齢化が進み、単身で暮らす人が増えてきた他、デジタル化の影響も社会生活に大きな変化を引き起こしています。これを踏まえると、新しい都市の作り方、改良の仕方、運営の仕方が求められます。
そうした新しい都市のあり方、実現の方法論を学ぶのが、この講義です。講義の前半では、都市を取り巻く環境を概観した上で、分野別(環境や交通など)に都市政策の近年のトレンドを学びます。後半では、知識資本社会といった新しい考え方に基づく産業のあり方の他、既成市街地の再生に関する理論と実例、公民連携やエリアマネジメントといった最新のまちづくり手法について学びます。
なお、理解を助けるために、パワーポイント等を活用しながら、ビジュアルに提示していきます。
本講義は、現代社会学部ディプロマポリシーの現代社会における<人間社会と心理>、<経済社会と企業>。<社会制度と政策>および<社会生活と地域>という4つの基本分野に関する専門的知識を修得できるともに、現代社会がもつさまざまな側面にアプローチし、それらを洞察し、的確に判断できることをめざします。また、「社会を知り人を想う」ことで新たな社会を創造しようとする精神を身につけることを目的とします。
※COC地域志向科目
【学習到達目標】
新しいまちづくり政策の基礎編と実例編を通じて、総合政策の典型的な対象の一つである都市・まちづくりについて、体系的に理解を深めることを目標とします
【履修上の注意】
講義概要に示したように、都市政策の前提となるのは「今ある都市空間の課題」と「今後生まれるべき都市空間へのビジョン」です。前者の課題については、日ごろからまちをみる目を養うようにしてください。ここは魅力的な場所だ、あるいはよくない場所だ、と思う空間をみつけ、それがなぜ魅力的なのか、よくない状態だと思うのかを考える癖をつけるようにしましょう。後者のビジョンに向けては、まず、社会の変化に敏感であることが重要です。新聞や雑誌、ネット記事など様々な情報源から社会の変化を目くばせし、これからの都市生活に求められるニーズは何かを考える癖をつけましょう。
各講義ではパワーポイントを用い、その内容をCCSを通じて配布しますが、気付いた点はこまめにノートを取りましょう。専門用語が授業中に出てきますので、不明の言葉の意味を調べるなどして、理解を深めておいてください(講義中での質問も可)
【事前準備学習】
下記の参考書を読み、新聞・雑誌(情報誌)やインターネットで取り上げられる都市は、なぜそこで取り上げられているのか意識しておいてください。
なおCCSを通じて、講義資料を配布します。事後には授業で学んだことをミニッツペーパーで記述してもらいます。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 講義の都度、講義内容の資料を配布します。 |
参考書 | 『図解 都市計画』 澤木昌典・嘉名光市 編著 学芸出版社 2022 『タクティカル・アーバニズム・ガイド』 マイク・ライドン、アンソニー・ガルシア 昌文社 2023 『リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法』 清水善次 学芸出版社 2014 『エリアマネジメント 効果と財源』 小林重敬 学芸出版社 2020 『都市を学ぶ人のためのキーワード辞典』 饗庭伸 編著 学芸出版社 2023 『ドイツの地域再生戦略 コミュニティ・マネージメント』 室田昌子 学芸出版社 2010 『最新エリアマネジメント -街を運営する民間組織と活動財源』 小林重敬 学芸出版社 2015 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
■定期試験(50%)
■中間テスト(20%)
■平常点(30%)
・平常点は講義で学習した内容を記述するミニッツペーパーで評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンスと都市政策の視点ー社会課題と都市の関係 | |
2 | 都市をとりまく社会的環境ー人口縮小、単身化 | |
3 | 環境と都市ーグリーンインフラ、ゼロカーボンシティ | |
4 | 災害と都市ー巨大地震の対策と復興 | |
5 | 交通と都市ーモビリティマネジメント、ウォーカブルシティ | |
6 | 景観と都市ー歴史的建物の保全 | |
7 | 参加と都市ーシビックプライド、関係人口、ワークショップ | |
8 | 中間テスト | |
9 | クリエイティブシティー知識資本社会、アートとまちづくり | |
10 | 中心市街地の再生(1)ー都市再開発、公共事業 | |
11 | 中心市街地の再生(2)ーリノベーションまちづくり | |
12 | 公民連携まちづくりー指定管理者制度、PFI、P-PFI | |
13 | タクティカルアーバニズムー道路空間の再配分、社会実験 | |
14 | エリアマネジメントーまちづくり会社、都市経営 | |
15 | まちづくり応援システムーまちづくりプラットフォーム、中間支援組織 | |
16 | 定期試験期間 | |