【講義概要】
企業は理論的には、法人として設立された限りは永続するものと仮定される。しかし、現実にはむしろ長期に渡りその経営活動を維持し続けることのほうが困難である。企業は自らの存在を維持し続けるため、ときには不正経理という手段を講じることもある。それはしばしば、経済事件として報道されている。本講義ではそういった具体的な経済事件の事例をとりあげることによって、個別のケースへの監査人の対応や結果から、監査論における要点を整理し、監査の必要性や現在および将来における課題を考察する。
DPにおいて知識・技能としては、実際のビジネスや企業経営が直面する諸問題(たとえば倒産企業で行われていた会計不正など)の本質を理解し、修得した知識や技能を活用してそれらの諸問題に対する解決策(監査を有効に機能させる方法など)を探求する能力を身に付けることを目標としている。
また、産業や市場および企業の持続的成長が社会経済の健全な発展に大きく影響を与えることを認識し、そのために監査が担う役割や現状の手続や基準における問題を見つけて解決していくために必要な思考力・判断力を身に付け、論理的に説明できることを目標としている。
なお、本講義履修に際し会計監査論を履修済であることがのぞましいが、必須条件ではない。ただし、監査について初歩的な知識は確認しながらも、本講義で登場する公認会計士や監査の目的やプロセスについて深く解説・確認することを前提とはしていない。
また、企業の個々の事例を扱うため、授業中できる限り履修学生に事例の問題点などを直接問いかけ、意見を求めることも考えている。さらに、履修学生間の議論も期待している。
【学習到達目標】
実際に発生した企業の経済的事件の事例から、監査が果たすべき役割や課題を理解し、そこからそれらの課題の解決策等を提言できるようになることを目標としている。
【履修上の注意】
社会状況や諸般の事情により、必要に応じて授業実施方法について変更する場合がある。
財務会計についての初歩的な知識があるほうが望ましい。
【事前準備学習】
基礎的な監査の機能や手続について確認しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『ケースブック監査論(第5版)』 吉見宏 新世社 2013年 |
参考書 | 『はじめて学ぶ監査論(第2版)』 盛田良久・百合野正博他 中央経済社 2020年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
・試験(まとめのテスト)および授業への取り組みの姿勢(課題提出状況等)を総合的に評価します。
・最終講義の課題(まとめのテスト)が成績評価には大きく影響しますが、毎回の講義における課題も平常点として評価対象に含まれます。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス | |
2 | 会計監査について | |
3 | 会計監査の必要性 | |
4 | 公認会計士・監査法人 | |
5 | 期待ギャップ問題 | |
6 | 会社法・金融商品取引法 | |
7 | 監査役監査・会計参与 | |
8 | 会計監査人による監査 | |
9 | 監査基準・監査手続 | |
10 | コーポレートガバナンスと監査 | |
11 | 内部統制 | |
12 | 継続企業を前提とした監査 | |
13 | 公的部門の監査 | |
14 | 環境監査 | |
15 | まとめ | |
16 | 定期試験期間 | |