【講義概要】
私たちはグローバル化した社会を生きているといわれるが、それが実際にどのようなことであるかは必ずしも明らかではない。本講義では、まずグローバル化をもたらしたと考えられる諸要素を人類史の文脈において検討し、次いで今日の私たちがどのようにグローバル社会に生きているかについて、その多彩な表れでかたを考察していく。このようにしてグローバル社会文化の広がりを人類史という縦軸と同時代における表出という横軸からなる座標軸に位置づけることにより、その意義と課題を捉えることを目指す。
広義のグローバル化とは、農業革命期から徐々に生じ、近代以降は加速度的に進行しつつある、包括的かつおそらく不可逆的な「地球規模化」をいう。私たちは否応なくその巨大な潮流に生まれ落ち、そのなかで生きているがゆえに、流(さ)れている自分を見ることが難しい。グローバル化の推進力となっている諸要素を人類史のうちに位置づけ相対化することにより、私たちの社会や文化を見つめ直していく。
人類史を俯瞰した後、同時代に目を向ける。私たちが生きている人類社会はすでにネットワーク網として地球の隅々までつながっているが、しかし相変わらず各所で分断されてもいる。そして人びとが想像していなかった事象が次々と生起し、そのスピードは加速している。このように錯綜した現代のグローバル社会文化のありようを、いくつかのイシューに焦点を合わせつつ検討し、見通しよくしていく。
本講義は、国際文化学部国際文化学科ディプロマ・ポリシーおよび同国際協力学科ディプロマ・ポリシーに共通する、「思考力・判断力・表現力」における「共生可能な持続的社会形成のための思考力・判断力・行動力を身につけることができる」を目的とする。
【学習到達目標】
・グローバル化がどのような要素によりどのように進展してきたかを理解する。
・グローバル社会文化の意義や問題について、個別の事例に基づいて理解する。
・グローバル社会に生きるとはどのようなことであるかを理解する。
【履修上の注意】
・出席回数が総授業回数の3分の2に満たない場合は「失格」とする。
・原則として毎回、CCSのミニッツペーパー機能を使用し、課題を提出してもらう。次の授業で解答例を紹介し、解説を行う。
【事前準備学習】
・授業で提示された参考書に目を通すこと。
・授業で学んだことを次の授業までに復習すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 使用しない。 |
参考書 | 『サピエンス全史 上・下』 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社 2016 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイアモンド 草思社文庫 2012 『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出文庫 2021 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
・学期末レポート40%、授業内課題40%、授業への意欲20%、の配分で評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | グローバル化する世界 | |
2 | グローバル化の礎(1): 貨幣 | |
3 | グローバル化の礎(2): 帝国 | |
4 | グローバル化と近代(1): 科学革命 | |
5 | グローバル化と近代(2): 科学と帝国の融合 | |
6 | グローバル化と近代(3): 「成長」という資本主義のマジック | |
7 | グローバル化と近代(4): 国家と市場経済がもたらした世界平和 | |
8 | グローバル化と近代(5): 人間の崇拝 | |
9 | 現代のグローバル社会文化(1): 自由主義への幻滅 | |
10 | 現代のグローバル社会文化(2): 自由を代替するテクノロジー | |
11 | 現代のグローバル社会文化(3): ナショナリズム | |
12 | 現代のグローバル社会文化(4): 国家に仕える神 | |
13 | 現代のグローバル社会文化(5): テロリズム | |
14 | 現代のグローバル社会文化(6): ポスト・トゥルース | |
15 | 現代のグローバル社会文化(7): 瞑想 | |
16 | 定期試験期間 | |