【講義概要】
ディプロマ・ポリシーに掲げた医療・保健・福祉の分野で活躍できる理学療法士としての能力を獲得するためのカリキュラム編成の中で、予防医学は専門基礎分野に位置付けられています。すなわち、専門実践分野(疾病・障害に対する理学療法学)を習得するための基礎として、まず、疾病及び障害の成り立ち及び回復過程の促進について理解することが目的となります。具体的には、疾病及び障害について、その予防に関する知識を習得し、理解力、観察力、判断力を養うとともに高度化する医療ニーズに対応するための基礎を学びます。
それでは、予防医学とは何でしょうか。予防医学が他の医学分野と大きく異なるところは、個人だけでなく地域や集団を対象とするところです。疾病の予防ですので疾病のない一般大衆が対象となります。病気にならないように一般集団の「健康を増進」すること、ある病気になりそうな人・障害を起こしそうな人(ハイリスク群)を見つけて予防的介入をおこなうこと、あるいは、すでに疾病を持った人の合併症予防も予防医学に含まれます。例を挙げると、地域のヘルスプロモーション、介護予防、生活習慣病予防、内部障害を持つ患者の合併症予防などです。これらの知識・技能は、理学療法士としてのスキルに直接結びつくものであり、少子化高齢社会においては極めて重要な分野であるといえます。
【学習到達目標】
健康について説明できる。
疾病予防の概念を説明できる
人口統計を説明できる
疫学研究の方法を説明できる
脳血管疾患の統計、リスク、予防を説明できる
高血圧の統計、リスク、予防を説明できる
心疾患の統計、リスク、予防を説明できる
糖尿病の統計、リスク、予防を説明できる
骨折・骨粗鬆症の統計、リスク、予防を説明できる
老化と加齢を説明できる
高齢者の健康を説明できる
社会保障と保健医療政策を説明できる
【履修上の注意】
毎回の講義は、内科学、整形外科学、臨床神経学の復習から始まり、それぞれの項目を予防という観点から見つめなおすことにより、疾患の病態、理学療法についての理解を深めます。集団を対象とするため、ある程度疫学(臨床統計学)の知識が必要となりますが、心配ありません。本当に大事なところだけ、数式を使わず、統計ソフトを使わず理解できるようにします。
【事前準備学習】
私の授業では、予習は一切必要ありません。講義中にすべて理解できるように設計してあります。この講義を修了すると疾病に対する理解がガラッと変わります。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『公衆衛生がみえる 2020-2021』 医療情報科学研究所 (編集) メディックメディア 2020 『図解入門 よくわかる最新公衆衛生学の基本としくみ[第2版]』 上地賢 , 安藤絵美子, 雜賀智也 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
中間試験と定期試験で評価します。合格の条件はどちらも50%以上、合計で60%以上です。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 予防医学・公衆衛生学とは | |
2 | 健康と疾病 | |
3 | 疫学の方法と解釈 | |
4 | 生活習慣病の予防1(総論、悪性新生物) | |
5 | 生活習慣病の予防2(喫煙、COPD) | |
6 | 生活習慣病の予防3(脳血管疾患) | |
7 | 生活習慣病の予防4(脂質異常症) | |
8 | 中間試験 | |
9 | 生活習慣病の予防5(肥満、メタボリック症候群、糖尿病) | |
10 | 生活習慣病の予防6(骨粗鬆症、骨折) | |
11 | 老年医学総論 | |
12 | 老年症候群 | |
13 | フレイル・サルコペニア | |
14 | 介護予防とヘルスプロモーション | |
15 | 知識の整理と評価 | |
16 | 定期試験 | |