【講義概要】
例えば、腕の折れた骨が繋がっても、痛みなく腕が使えるようにならないと意味がありません。腕が使えるようになっても、普段の生活の中で使う機会があり、その機会に幾分に使えなくては意味がありません。逆から考えると、生活をする上で何が必要で、どういった要素で構成されているかを知ることは、個々の対象者に合わせて理学療法を考える上でとても重要なことです。
本講義では、この日常生活の上で必要な動作や活動、すなわちActivity of Daily Living (ADL)について、その概念や評価方法、患者への指導方法について学びます。
本講義は、学科専門科目の専門実践科目、疾病・障害に対する理学療法に位置しますが、ベーシックな健常者のADLを中心に扱います。そして疾患を持った対象者を扱う3年次配当の科目へと繋げる基盤的な知識を身に付けます。本学部のディプロマ・ポリシー【知識・技能】のうち「基礎医学領域の知識ならびにそれに基づく理学療法学と関連する専門領域の知識と技術を身につける。」【主体性・多様性・協働性】のうち「学習成果を活用し、他者と協働して問題解決に向けて行動する事が出来る。」といった能力を養うことを主な目的としています。
【学習到達目標】
日常生活活動における基本的な動作や行動を説明できる。
日常生活活動に対する評価方法を健常者を対象に模擬的に実践できる。
【履修上の注意】
座学だけでなく、実習を行うことコマもあります。その際は連絡しますので動きやすい服装や感染対策等準備をお願いします。
【事前準備学習】
特に動作を見るためには解剖学、運動学といったベースとなる知識を組み合わせて複合的に考える必要があります。毎回の予習、復習を行って臨んでください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『15レクチャーシリーズ理学療法・作業療法テキスト ADL・実習』 長尾 徹/長野 聖 中山書店 2021 |
参考書 | 『シンプル理学療法学シリーズ 日常生活活動学テキスト改訂第3版』 河元岩男/坂口勇人/村田伸編集 南江堂 2019 『標準理学療法学 日常生活活動学・生活環境学 第6版』 鶴見 隆正 / 隆島 研吾編集 医学書院 2021 『PT・OTビジュアルテキスト ADL 第2版』 柴 喜崇/下田信明 羊土社 2021 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
毎コマ課題を課し、それを成績判定の一助とします。この課題の状況と最終的な試験および授業態度をもって総合的に評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ADL(Activities of Daily Living)の概念と範囲 | |
2 | ADLと障害 | |
3 | ADL評価概要 | |
4 | ADL評価実践(Barthel Index | |
5 | ADL評価実践(FIM | |
6 | 基本動作の観察方法と目の付け所 | |
7 | 基本動作の運動学的ポイントと介助(寝返り | |
8 | 基本動作の運動学的ポイントと介助(起き上がり | |
9 | 基本動作の運動学的ポイントと介助(立ち上がり | |
10 | 基本動作の運動学的ポイントと介助(歩行、歩行補助具含 | |
11 | 基本動作の運動学的ポイントと介助(車いす駆動 | |
12 | 基本動作の運動学的ポイントと介助(階段・段差昇降 | |
13 | 基本動作の運動学的ポイントと介助(移乗、トイレ・入浴含 | |
14 | 身のまわり動作と自助具(食事、整容、更衣 | |
15 | まとめおよび試験 | |
16 | 定期試験期間 | |