【講義概要】
産業組織論は、近年とくに多くの研究成果がえられた分野です。しかし、やや耳慣れない学問分野であり、国際経済論、金融論や財政論などと比較すると、初学者にとっては、何を研究対象としているのかわからないことでしょう。講義の中では、できるだけ身近なテーマを題材に産業組織論とは、どのような分野なのか、その視点を使うとどのような分析を行えるのかを明らかにしていきたいと思います。
日本経済のこの20年は国際化の波の中で、公的企業の民営化をはじめとした規制改革が進展してきました。そこには、競争原理を導入して効率的な産業組織を構築することが、国際的な競争力維持のためにも必要との認識があったからです。受講者は、ここで身につけた理論と分析手法をもとにして、現実の経済をいろいろな角度から分析し、市場メカニズムの意義・役割などの解明に役立ててもらいたいと思います。
この授業を通してみなさんは、経済社会の現実における課題を自ら発見し、ここで学んだ分析手法をベースに応用することができるようになってほしいと思います。
【学習到達目標】
ディプロマポリシーにおいて
・経済学の基礎的専門知識や分析ツールを使いこなすことができる。
上記能力を身につけることを第一とします。
また、以下の能力を身につけてもらうことも企図します。
・経済社会が抱える様々な課題に対する関心と問題意識を持つことができる。
・文献資料やデータを収集し、適切に処理することができる。
・社会を洞察するための論理的思考力をつけ、因果関係の把握や費用便益の比較考量ができる。
・政治・法律分野とのつながりを理解し、経済社会を多面的に捉えることができる。
【履修上の注意】
授業の中で、問題演習や宿題を課すことがあります。
その課題提出は、CCSからのみ受け付け、それ以外の方法での提出は受け付けません。
【事前準備学習】
ミクロ経済学の基本的知識、少なくともミクロ経済学入門は復習できるようにしておいて欲しいと思います。
また、CCSの自学自習に、授業で説明した事柄に関わる問題を掲載しているので、授業後にはこれらの問題に取り組むように。
そのことで、授業で学んだ知識・技能が実際に役立つようになります。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 授業は配付資料を中心に行い、教科書は用いません。 |
参考書 | 『プラクティカル 産業組織論』 泉田成美・柳川隆 有斐閣 2008年 他にも授業中に適宜指示することがあります。 |
指定図書 | 『一覧』 |
【評価方法】
授業中の演習問題提出:20%
期末試験:80%
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス・産業組織論とは | |
2 | 日本の産業構造 | |
3 | 日本の市場構造 | |
4 | 製品差別化 | |
5 | 完全競争市場の理論 | |
6 | 独占市場の理論 | |
7 | 寡占市場の理論 ―ゲームの理論― | |
8 | 参入障壁 | |
9 | 企業の協調的行動 | |
10 | 垂直的取引制限 | |
11 | M&A ―企業合併を中心に― | |
12 | 日本のビール産業 ―産業組織論からの分析― | |
13 | 価格差別戦略 | |
14 | 公益事業の価格規制 | |
15 | まとめ | |
16 | 定期試験期間 | |