【講義概要】
環境法は、さまざまな環境問題に対応するために、環境基本法をはじめとして、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、廃棄物処理法など、各種の環境問題関連法の総称であり、さらには、地方公共団体の条例や規則等に至るまで、環境問題にかかわるさまざまな形式の法から成り立っています。環境法は、「環境保護に関する法規の総体(複合体)」といってよいでしょう。したがって、環境法は、憲法や民法などとは異なり、「環境法」という独立の法典として存在するものではありません。
この授業では、まず、理解しにくい環境法の全体像(環境問題にかかわる法の総体)について概説したうえで、次に、環境問題に関する歴史的経緯(公害問題から環境問題へ)、環境法の基本原則(持続可能な発展、予防原則、汚染者負担原則)、環境権について学習し、環境基本法をはじめとする、各種環境問題関連法について、詳しく学んでいきます。さらには、地域の環境問題から地球環境問題の解決のために、我々がなすべきことは何かについても一緒に探求していきます。
【学習到達目標】
まず、環境法全体の歴史・基本理念・目的を踏まえたうえで、個々の環境関連法の目的、内容、機能等についても学習し、具体的環境問題ごとに、規制法と判例を精査することによって環境法の実働を理解し、ひいては、具体的事案について適用されるべき法やルールを発見し、それを解釈・適用することによって環境問題を解決できる力(自らの問題解決力)を身につけます
また、単なる既存の環境に関する法律にとらわれず、近時の地球温暖化をめぐるカーボンニュートラル、自然環境エネルギーの利用促進などの劇的変化に関しても、関心を高め、最新情報とともに、我々が地球環境問題に対してどのように貢献できるかについても検討します。
【履修上の注意】
環境法は、様々な形式の多数の法によって形成されている複合法ですから、教科書や授業への出席なしに、独学で学ぶことは極めて困難です。必ず、授業に出席し、教科書やレジュメ等を参考にして学習してください。
環境法を理解するには、公法と私法の体系、公法である行政法の仕組み、私法である民法(特に、不法行為法)の概要を知っておいた方が、環境法の理解の手助けになると思います。行政法関連科目や民法総則・契約法・不法行為法を履修済または履修中であることが望ましいといえるでしょう。
また、近時の地球温暖化問題に関するニュースについてもアンテナを張り、身近な問題として関心を持っていただきたい。
【事前準備学習】
授業に際しては、事前に講義内容を伝えるので、必ず教科書を購入し、教科書、配布するレジュメや資料を参考に、事前に予習してきてください(最低2時間の予習)。また、授業後には、授業内容を復習し、教科書や配布レジュメ・資料を参考にして、その都度ノートをまとめておいてください(最低2時間の復習)。なお、理解が難しい場合には、シラバスに挙げた参考書・判例集なども参照しながら、理解を深めてください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『環境法(第2版)』 北村喜宣編 有斐閣 2019年 |
参考書 | 『環境法入門(第3版)』 交告尚史・臼杵知史・前田陽一・黒川哲志編 有斐閣 2015年 『別冊ジュリスト環境法判例百選(第3版)』 大塚直・北村喜宣編 有斐閣 2018年 『環境法BASIC(第2版)』 大塚直著 有斐閣 2016年 『ベーシック環境六法(第8版)』 大塚直・北村善宜・高村ゆかり編 第一法規 2018年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
課題レポート85%及び平常点15%で評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 授業ガイダンス | |
2 | 環境法とは何か | |
3 | 環境法の生成過程(環境法の歴史) | |
4 | 環境法の基本原則 | |
5 | 環境権 | |
6 | 環境基本法 | |
7 | 大気汚染防止法 | |
8 | 水質汚濁防止法 | |
9 | 土壌汚染対策法・廃棄物処理法 | |
10 | リサイクルと法 | |
11 | 地球温暖化と法① | |
12 | 地球温暖化と法② | |
13 | 生物多様性の保全と法 | |
14 | 環境企業の環境活動 | |
15 | 環境市民の環境活動 | |
16 | 課題レポート | |