【講義概要】
憲法は、民法や刑法に比べて、身近な存在ではないと感じている学生も多いのではないでしょうか。しかし、本当に身近ではないのでしょうか。例えば、「お前は国政について意見するな。したら逮捕するぞ。」と警察官に言われたらどうでしょう。また、「お前の親は農民だから子どものお前も農民以外の職は認めない。違う職に就いたら罰するぞ。」と役人に言われたらどうでしょう。そんな世の中は息苦しいですよね。
実は、憲法に規定されている『人権』とは、普段は空気や水のような存在に感じてしまいがちですが、今のような事例をふまえて、その存在意義をあらためて検討してみると、なくてはならない重要なものだということが理解できるのではないでしょうか。従って、本講義は、憲法上の『人権』について、歴史的考察や現代的考察を行い、その重要性を再確認してみたいと思います。更に、様々な事例を中心に日本国憲法を検討していくことによって、皆さんが、日本国憲法の知識と考え方を身につけられるようにすることも意図しております。
【学習到達目標】
①新聞やテレビのニュースで扱われる憲法関連の事例を理解できるようになること。
②それらの事例をただ単に把握するだけではなく、自分なりの見解を含めた上で多角的に考察できるようになること。
③日本国憲法が試験科目として必要とされる国家試験等を受験する予定の学生にとって、導入部分としての知識や考え方を身に付けるようにすること。
【履修上の注意】
この授業では、できる限り、学生と教員との対話型の講義を行っていきたいと思いますので、参加者は使用してほしい事例などを積極的に提示して下さい(初回(必ず参加して下さい)にアンケートを実施しますので、考えておいて下さい)。
シラバスの講義進行はあくまでも目安です。この時期は憲法に関連する話題が多くありますし、それらも含めて皆さんが知っておいた方がよい話題がでてきた場合にはそちらを優先しますのでご了承下さい。
【事前準備学習】
義務教育時、あるいは、高校時に学んだ「日本国憲法」の部分を復習しておいて下さい。あるいは戦後、文部省が発行した『あたらしい憲法のはなし』を読んでおいて下さい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『はじめの一歩 法学・憲法(第2版)』 飯島滋明・松原幸恵・榎澤幸広 現代人文社 2024 |
参考書 | 授業中か、配布するプリントにて紹介致します。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
原則、①ミニッツペーパーなどの提出物5割、②定期試験かレポート5割、③講義中の発言で評価したいと思います。②が曖昧なのは、感染症の流行状況などに応じて変更するためです。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 憲法とは何か(ガイダンスもかねて) | |
2 | 二つの事例を検討し憲法を組み立ててみる | |
3 | 日本国憲法の構造を確認する | |
4 | 憲法の歴史を考える:明治憲法との関係 | |
5 | 憲法の歴史を考える:憲法24条から | |
6 | 日本国憲法の基本原理:国民主権 | |
7 | 日本国憲法の基本原理:徹底的な平和主義 | |
8 | 日本国憲法の基本原理:基本的人権の尊重 | |
9 | 憲法13条と14条 | |
10 | 人身の自由 | |
11 | 自由権 | |
12 | 社会権 | |
13 | 統治機構:国会・内閣 | |
14 | 統治機構:司法・違憲立法審査制 | |
15 | もう一度憲法とは何かを振り返る | |
16 | 定期試験(orレポート) | |