【講義概要】
本講義は「マクロ経済学入門」で学習した内容をさらに進め、基本的なマクロ経済学体系を学習することにより、経済学において重要視されるGDP、物価などの諸変数がどのように決定されるかについての知識を習得することをその目的とする。
講義の前半は「一国の経済水準の正確な測定」について講義を行う。マクロ経済学の事象を理解し、問題点を明らかにするためには、正確な統計と国同士の比較可能性が不可欠である。実際の国民経済計算(SNA)と物価統計を眺めながら詳しく解説する。その際理解度を問うため日本のマクロ経済統計に関するレポート課題が課される。
講義の後半は「一国の経済水準を決定する要因は何か」について講義を行う。地理・気候・天然資源・文化・政治・制度・人口など国ごとに異なる様々な事象があるが、それらがどのようにマクロ経済に影響を与えるのかを解説する。特に成長会計とソローモデルについて理解することが目的となる。この際、国ごとの長期推移を観察するための経済史・統計学の知識、ソローモデルを扱うための数学的知識が必要となる。
以上の2つのテーマを理解し、理論と現実の関連付けを行いながらマクロ経済を深く理解できることになることが本講義の目的となる。
本講義では本学経済学部のディプロマポリシーにある知識・技能に関する1~3の項目すべてが広く求められる。講義を履修することによりこれらを習得していくことが望ましい。また、本講義はカリキュラム・ポリシーにある「展開科目」にあたり、「基幹科目」である「マクロ経済学入門」の上級科目である。日本だけでなく様々な国のマクロ経済をより深く理解できるようになることを目的としている。経済のマクロデータを扱うレポート課題を通じて、受講生の主体的な学習も求められる。
【学習到達目標】
講義概要にある通り、「一国の経済水準の正確な測定」と「一国の経済水準を決定する要因は何か」を深く理解することが目的となる。
具体的にはSNAを読み解く力をつけること。また、ソローモデルを用いてさまざまなマクロの要因がどのようにGDPに影響するか理解できるようになることが本講義の到達目標である。
【履修上の注意】
講義概要にある内容に加えて、経済成長論などの長期的な分析手法に関して講義を行う。
特に成長会計やソローモデルを扱うので経済数学や統計学の知識が必要となる。
日本の物価の推移について理解を問うレポート課題が出されるので、データを解析する力も求められる。
【事前準備学習】
「マクロ経済学入門」で学んだ知識を基にして講義を行うので、履修済みでありさらに復習しておくことが必須である。
さらに、経済数学入門や統計学入門の知識があることを前提とするので、履修しておくことが望ましい。
また、様々な国のマクロ経済の長期的推移を扱うので、経済史についての知識を得ておくことが望ましい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『マクロ経済学入門第3版』 二神孝一 日本評論社 2017 『新版マクロ経済学 (New Liberal Arts Selection)』 齊藤誠 他 有斐閣 2016 『経済成長 第2版』 デイヴィッド・N・ワイル ピアソン 2010 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | マクロ経済学で明らかにすべき問題 | |
2 | 国民経済計算:三面等価とSNAの見方 | 内閣府HP http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html |
3 | 国民経済計算で見る景気循環 | 内閣府HP http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html |
4 | 物価の測定 | 統計局HP http://www.stat.go.jp/data/cpi/ |
5 | 日本の物価の推移の理解 | 統計局HP http://www.stat.go.jp/data/cpi/ |
6 | 名目変数と実質変数 | |
7 | 中央銀行の役割の変遷:インフレ退治からデフレ退治へ | |
8 | 経済の長期推移の観察:カルドアの事実 | |
9 | 成長会計の基本とソロー残差 | |
10 | 日本の成長会計と資本蓄積 | |
11 | ソローモデルとその帰結 | |
12 | Great Divergence | |
13 | 人口の増加と経済成長 | |
14 | 政府の役割と経済成長 | |
15 | 講義のまとめ 経済成長を決定する要因 | |
16 | 定期試験期間 | |