【講義概要】
刑法総論1では、犯罪の成立要件とあたるものと、その法律効果である刑罰について、具体的なテーマに絞って説明していきます。通常、刑法総論では、一般的な原理・原則が中心となりますが、抽象的な建前論ばかりで、初学者には理解しにくい面もあります。そこで、今年度は、最初に犯罪論の全体像を示した上で、犯罪の有無が争点となる個々の事例を素材として、何が犯罪といえるかを考えてみたいと思います。
刑法学の基本的思考方法は、いったん修得すれば広い範囲で応用できますが、最初のあいだは、一定の基礎知識を身につける必要があります。また、それぞれのテーマに関する重要な判例を紹介したり、実際に事例問題を解いてもらうこともあります。
なお、この授業は、法学部の専門科目の中で刑事法科目に属しており、ディプロマポリシーの中では、「法的知識の獲得」と「多面的な調査・分析能力」を養うことを目的としています。
【学習到達目標】
重要な学説や判例を正しく理解して、その内容を自分の言葉で他人に説明できること、また、具体的事案を解決するために必要な法的知識を身に付けること、さらに、自分が正しいと思う結論について根拠を示すようになることが、刑法総論1の到達目標です。
【履修上の注意】
新型コロナウィルスの感染状況によっては、非対面のオンライン授業(Office365のTeamsとCCSを併用した遠隔授業)になることがあります。なお、オンライン授業に参加する際には、授業名を記載したTeamsのタイルをクリックして、事前にお知らせしたチームコードを入力する必要があります。
「Teamsの招待コード」については、いつオンライン授業にするかが明らかになった時点で、CCSの掲示板を通じて、お知らせ致します。
【事前準備学習】
事前学習として、毎回の授業に先立って、あらかじめ教科書の該当部分を読んでおくこと、また、授業中に聞き取った内容をノートにまとめて、事後の学習に役立てることをお勧めします。なお、第1回目の講義が始まる前には、「刑法入門」の教科書(『はじめての刑法学』)を、もう一度読み返しておいて下さい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『刑法総論の基礎と応用』 佐久間修 成文堂 2015 |
参考書 | 『刑法判例百選Ⅰ総論[第8版]』 佐伯仁志=橋爪隆編 有斐閣 2020 |
指定図書 | 『一覧』 |
【評価方法】
主として学期末におこなう筆記試験によって評価します(90%)。ただ、授業中に提出するリポートや受講態度を含む平常点も考慮して総合的に決定します(10%)。
なお、筆記試験の結果に関するフィードバックとして、全部の答案を採点した後、解答のポイントおよび採点講評をCCSで公開するようにします。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 犯罪と刑罰 ― 刑法学とは何か(ガイダンス) | |
2 | 刑法の基本原則と刑法上の「行為」 | |
3 | 犯罪論の基本構造 ― 構成要件・違法・責任 | |
4 | 実行行為の概念1 ─ 不真正不作為犯 | |
5 | 実行行為の概念2 ─ 間接正犯と共同正犯 | |
6 | 実行行為の概念3 ─「早すぎた結果発生」と「遅すぎた結果発生」 | |
7 | 過失犯の所在と競合 ─ 実行行為と因果関係 | |
8 | 故意犯における事実の認識 ─ 未必の故意と概括的故意 | |
9 | 許された危険と被害者の同意 ─ 構成要件該当性と違法性阻却 | |
10 | 事実の錯誤と主観的帰属 ─ 実行故意と既遂犯の成否 | |
11 | 因果関係論の現在 ─ 条件関係と相当因果関係 | |
12 | 法令行為と正当業務行為 ─ 生命の保護と法秩序の維持 | |
13 | 正当防衛と緊急避難 ─ 違法論と責任論の交錯 | |
14 | 事例問題と解説1 | |
15 | 事例問題と解説2 | |
16 | 定期試験期間 | |