【講義概要】
この講義では、現代社会で起きている問題を知ることから、人間の経済と文化の関係を理解することを目指す。経済活動の原型である「交換(ものや行為のやりとり)」には、贈り物交換と取引交換がある。伝統的な社会では、贈り物交換が経済活動のほとんどの部分を占めており、このこを「社会に埋め込まれた経済」といわれる。市場は、古くから人間社会に存在したが、近年は、市場が経済活動の大半をしめ、価値観、文化活動、家族関係、情報などのあらゆる領域に影響を与えるようになった。また、市場経済に不可欠である「貨幣(金融)」というものの起源から現在の通貨について解説する。
人類は、自然社会、農業社会を経て、17世紀以来産業社会の時代に突入した。現在は産業による生産がもっとも充実し、先進国においては多くの人々が豊かさを享受した。しかし、実はこの先進国の住人は世界の人口の1割を満たすにすぎない。地球上の大多数の人々が貧困や飢餓に苦しんでいるというのが真実である。また、現在は、先進国と途上国の区別を越えた、地球規模の問題として、温暖化、オゾン層の破壊、大気汚染、環境ホルモンなどの環境問題が深刻化している。さらに、食糧自給率が3割しかない日本においては、食糧問題も潜在的な脅威である。
この講義では、文化と経済の関係と歴史、また、食料問題、環境問題、エネルギー問題などの身近なトピックを取り上げ、現代の日本社会の問題を提起したい。日本の問題は、環境、貿易、情報などによって必ず地球規模での問題に行き着く。地球人として、どのように生きるべきかを、自然と人間の共存や人類社会の成立基盤について考えることから掘り起こしていきたい。
【学習到達目標】
現代社会で起きているさまざまな問題を喚起し、経済と文化の関係を理解する。情報収集・分析力、論理的思考力の習得を目指す。
【履修上の注意】
この講義は,この講義は対面で実施します。
ノートの取り方を工夫してください。黒板を写すだけではなく、自分の頭で理解しながらノートにまとめてください。
毎回、講義の終わりに課題を出しますが、丁寧に書くこと。内容だけでなく講義への姿勢も、提出物から判断します。
【事前準備学習】
常日頃から、ニュースや社会情勢に注目し、現代社会で起きていることに関心をもってください。講義後に、ノートと配布資料をもとに復習しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
毎回講義の終わりに提出する小テストで平常点をつけます。 講義を5回欠席したら失格にします。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 文化と経済 | |
2 | 贈与交換と取引交換 | |
3 | 互酬性 | |
4 | 市場のイデオロギー | |
5 | 貨幣の歴史 | |
6 | 貨幣と情報(暗号通貨) | |
7 | 地域通貨 | |
8 | 21世紀の潮流(1) | |
9 | 21世紀の潮流(2) | |
10 | 情報とグローバリゼーション | |
11 | 科学技術と社会 | |
12 | 人口、エネルギー、環境問題 | |
13 | 肉食と穀物消費 | |
14 | 大規模農業の問題点 | |
15 | 農業とバイオ・テクノロジー | |
16 | 定期試験期間 | |