【講義概要】
ドイツの詩人ゲーテは近代ヨーロッパを代表する知識人だった。この授業では彼の代表作である戯曲『ファウスト』第一部を考察しながら、ヨーロッパと日本の文化的相違に着目し、比較を通して異文化理解をはかっていく。古来から文化は宗教と結びつき、様々な芸術を生み出し、発展を遂げてきた。宗教の根底には魔術的側面があるが、ヨーロッパではギリシア・ローマ時代に見られた宗教の魔術性は、キリスト教によってタブー視され、中世を通して抑圧されてきた。しかし、古代の魔術はルネサンス時代に復活する。ゲーテの戯曲の主人公はルネサンス時代の伝説的魔術師ファウストであり、「悪魔との契約」を軸に展開する。日本古来の宗教、特に神道では悪魔はそれほど重要な役割を担っていない。ところが、キリスト教では悪魔は神と対峙する「悪」の根源であり、『ファウスト』においても大活躍する。悪魔とは何なのか、そもそも「悪」は異なる文化の中でどう定義されるのか。そして、「悪」と向き合うとき、私たちは何に頼ればよいのか。この講義を通して考察していきたい。
【学習到達目標】
文学を通してヨーロッパ文化を形成する根本理念を理解し、日本文化との比較によって異文化理解をめざす。
【履修上の注意】
授業は私語厳禁。毎回、講義資料をCCSの教材BOXにアップロードしておくので、授業理解の参考にするように。
なお、やむをえず非対面授業になる場合は、CCSを活用した基本型授業(教材提示・課題提出)で実施します。
【事前準備学習】
テキストをあらかじめよく読んでおくように。講義後はテキストの意味の把握に努めること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『ファウスト(一)』 ゲーテ(高橋義孝 訳) 新潮文庫 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
レポート試験70%+平常点30%。平常点には、授業態度(私語や居眠りはないか)、予習復習の有無などを基本に、小テスト等を加味する場合もある。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 多神教と一神教 | |
2 | 悪魔=堕天使 | |
3 | 神と悪魔の賭け | |
4 | 神になりたい、それは傲慢か? | |
5 | 復活祭の救い | |
6 | 近づく悪魔 | |
7 | 光と闇の戦い | |
8 | 悪魔との契約 | |
9 | 永遠の恋人 | |
10 | ファウストの恋 | |
11 | 恋と欲望 | |
12 | 誘惑の蛇 | |
13 | マルガレーテの悲劇 | |
14 | 愛と救済 | |
15 | レポート試験 | |
16 | 定期試験期間 | |