【講義概要】
「労働」とはみなさんが生きていくためには避けては通れない経済活動の1つです。しかし、我々の生活に密接に関わっているからこそ様々な問題がそこには発生します。この講義では労働経済学の基礎を習得し、労働経済学の主要なトピックを理解することにより、現実社会へ理論を幅広く応用をできるようになっていただきます。
まず労働経済学の対象範囲となぜそれを学ぶのかを、日本の制度や雇用の現状をデータを通じて解説します。その後は労働市場の解説を行います。労働市場とは労働の需要者である企業と、労働の供給者である人々がお互いに労働力を取引している場で、アルバイトの募集の広告や就職活動における面接などが具体的なイメージです。財・サービスの市場と同様にそこで賃金と雇用量が決定します。これらの需給に基づき賃金と雇用量がどのように調整され決定されるのかを解説します。
後半は賃金、教育訓練、終身雇用や成果給などの雇用制度、失業、労働の制度や慣習の考え方を紹介し、現実の日本の労働市場の特徴と問題点を解説します。また、近年になって問題が明らかになっている少子高齢化、女性の労働、若年者の労働、高齢者の労働について、データや問題点を紹介します。その際、学生が自ら労働に関するデータを用い、様々な労働問題に関する要因や解決策を明らかにする作業を行ってもらいます。
本講義では本学経済学部のディプロマポリシーにある知識・技能に関する1~3の項目すべてが広く求められます。具体的には労働問題という身近なテーマに関心を持ち、労働経済学の分析ツールを使い、データを適切に処理できることです。これらを講義を履修することにより習得していくことが望ましい。
また、思考力・判断力・表現力に関する項目1・2も求められます。現実の労働の問題を理解し解決策を提示すること、労働に関する政治の動きや法律との兼ね合いを学び習得する必要があります。本講義はカリキュラム・ポリシーにある「展開科目」にあたり、労働のデータを扱うレポート課題を通じて、受講生の主体的な学習が求められます。
【学習到達目標】
労働市場の基本的な理論を習得し、それを応用して日本における労働市場の現状や問題点を理解する。労働に関するデータを扱えるようになることが目的である。
【事前準備学習】
労働市場の分析を行う基礎として「ミクロ経済学入門」の知識、
日本の労働の歴史、失業率の推移などを扱う基礎として「マクロ経済学入門」の知識、
日本の労働市場の現状と問題点をデータから明らかにするための「データ表現技法」の知識が不可欠である。
これらを受講前に復習しておくこと。