【講義概要】
この講義は「民法」という法律を学ぶ。
民法の内容は、一般的に、「民法総則」、「物権」、「債権」、「不法行為」、「親族・相続(家族法)」の分野に分かれ、1050条から構成されているが、この講義では、民法の財産法(総則、物権)を中心に学習する。
「法律!?」と聞くと、誰もが最初は、その内容が固くて、難しくて、よく分からないもの、と思いがちだが、法律の中でも意外と私達の身近に存在するのが「民法」である。
例えば、「成人は何歳からか」という質問には、大学生の誰もが答えられるだろう。しかしこのルールが民法4条に規定されていると知る人は少ない。このように民法は知らない間に、私たちの社会生活に溶け込み、そして生活の中の当たり前のルールになっていることが多い。
また、民法は、社会生活のトラブルを解決、又は回避する役割もある。
例えば、「20年前に友達から借りたマンガを友人が返却を求めてきた。しかし、借りたかどうかの記憶がない。現にマンガはない」と言った場合、「時効」という制度で、解決することができる。
貸した友人側は「親切で貸してあげたのに、返してもらえないなんて・・・」ということになるかもしれないが、もし友人が民法の時効の制度を知っていたら、もう少し賢く行動し、マンガは返還されたかもしれない。
民法を知るということは、様々なトラブルに対して法的思考を持って解決する力を養うだけでなく、そのようなトラブルに巻き込まれないように回避する知恵も含まれているといえよう。
また、民法を含めた法律は「正義」とよく思われているが、時々、理不尽で、不平等なルールも時折、潜んでいるのが面白いところでもある。この面白味も感じてもらいたい。
この講義では、日常生活の身近な事例(判例)やをできるだけ多くとりあげ、机上の空論ではなくリアルな世界(状況)での民法を学べるように工夫する授業としたい。
【学習到達目標】
講義で扱う法の定義や内容を単に暗記するのではなく、その理解し、発生したトラブルをイメージし、法的思考を持って解決へ結び付けることができるようになりたい。
【履修上の注意】
・ 私語一切禁止
・ 出席は学生証IDで確認。学生証を忘れた場合は、講義開始後20分までに出席カードを教員まで取りに来ること。
・ 大学のシステムエラー等、公的な理由がない限り、出席の後付けはしませんので、注意してください。
・ 5回欠席で失格です。なお、教育実習や忌引き、出講停止等の感染症の場合は所定の欠席届を提出ください。
「失格にカウントしない欠席」として扱います。
・ 履修変更期間に当該科目を履修登録した者で、1回目の講義に欠席した人は、春学期は5月末まで、秋学期は10月末
までに申し出ること。それ以降の対応は致しませんので注意ください
* ICでの出席記録があっても、出席確認時に教室にいない場合は「欠席」と扱います。お手洗いなどは出来る限り
講義前にお済ませください。
【事前準備学習】
・法律の学習をする時に、よく問題となるのが専門用語の理解である。その理解を深めるためにも、授業前には、少なくとも1回は教科書を通読し、通読して理解できる内容と、理解できない内容を認識した上で、授業に出席すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『民事法入門(有斐閣アルマ)(第8版補訂版)』 野村豊弘 有斐閣 2022年
* 講義には、教科書、筆記具等を必ず持参すること。
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参考書 | 『民法(全)』 潮見佳男 有斐閣 2017年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
原則として期末試験及び提出物、並びに講義態度により評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス、民法とは | |
2 | 民法の意義、基本原理、原則(権利と義務) | |
3 | 法律行為と意思表示①(心裡留保、虚偽表示) | |
4 | 意思表示②(錯誤、詐欺、強迫) | |
5 | 権利能力、意思能力、行為能力 | |
6 | 制限行為能力者 | |
7 | 代理行為、無権代理行為 | |
8 | 表見代理 | |
9 | 時効制度① | |
10 | 時効制度②(取得時効と消滅時効) | |
11 | 契約の成立 | |
12 | 契約の効果 | |
13 | 債務不履行とは | |
14 | 債務不履行の効果 | |
15 | 所有権 | |
16 | 定期試験 | |