【講義概要】
ディプロマ・ポリシーに掲げた医療・保健・福祉の分野で活躍できる理学療法士としての能力を獲得するためのカリキュラム編成の中で、内科学は専門基礎科目に位置付けられています。すなわち、専門実践科目(疾病・障害に対する理学療法学)を習得するための基礎として、まず、疾病及び障害の成り立ちと医学的診断と治療について理解するのが内科学講義の目的です。
それでは、内科学とは何でしょうか。理学療法士は障害された生活機能の回復を目的としてリハビリテーションを行います。心臓病や肺疾患により生活機能が障害されることが多いため、このような「内部障害」も理学療法の対象となります。この内部障害について学ぶのが「内科学」です。
一般的な内科学の教科書には多くの疾患について詳しい記載があり、その量は膨大です。しかし、理学療法士が一生遭遇することもないような極めてまれな疾患についての記載に多くのページが割かれているのが現状です。我々には、これらすべてを学ぶ時間はないし、そんな必要もありません。それでは理学療法士として理解しておくべきこと、学ぶべきこととは何でしょうか。
膨大な情報・データを詳細に分析したところ驚くべきことが明らかとなりました。心電図診断、循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病さえ理解すれば、理学療法士にとって必要な内科学の8割を習得したことになるのです。しかし、残念ながら、このような事情をきちんと理解して書かれた、理学療法士を目指す学生だけを対象とした内科学の教科書はありません。そこで、この講義が極めて重要となります。どの分野でどの程度の知識が必要なのかということを徹底的に調査し、重点的に指導します。この講義のノートが最高の教科書となります。
【学習到達目標】
血圧の測定方法・原理を説明できる。
心電図の波形が理解でき、簡単な不整脈が診断できる
呼吸機能検査について詳しく説明できる
高血圧、狭心症、心筋梗塞、心不全、動脈硬化、深部静脈血栓について説明できる
慢性閉塞性肺疾患、喘息、呼吸不全について説明できる
糖尿病について説明できる
腎臓の機能、酸塩基バランス、透析について説明できる
理学療法士として必要とされるその他の疾患(膠原病、消化器・肝・胆・膵、代謝・内分泌疾患)の概要を理解できる
【履修上の注意】
教科書は使用しません。必ずスマートフォンを持ってきて下さい(講義で使用します)。
皆さんは膨大な知識を習得する必要があります。その膨大な情報を断片的に記憶することは困難で、限界があります。したがって、常にメカニズムを考え、理屈をつけて覚えるようにします。講義はその理屈を理解するための時間です。覚えるべき内容をまず理解して、有機的な関連した情報として記憶することが重要となります。講義中にノートをとることに集中せず、完全に理解してください。
皆さんが卒業して理学療法士として働くときには、自分の知識と患者さんからの情報をもとに、自分でリハビリテーションを組み立てることになます。つまり、「知っていること、しかできない」のではなく、「限られた知識を応用、展開する能力」が必要となるわけです。この講義では、メカニズムを考えることを習慣づけ、取得した知識を応用することを常に考えます。
【事前準備学習】
予習はしないでください。
理解した内容を覚えるのが自己学習(復習)です。なるべく早く、講義で理解した内容を復習してください。「鉄は熱いうちに打て」ということです。他人に説明できる程度になれば完璧です。
講義の最初にスマートフォンを使用して小テストをします。前回までの講義の復習ができているかを確認するテストです。
【重点復習項目】
動脈硬化の危険因子
ST上昇・低下の判読
狭心症・心筋梗塞のキーワード
閉塞性動脈硬化症とBuerger病の違い
深部静脈血栓症のリスクと予防法
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『わかりやすい内科学 第4版』 編集主幹 井村裕夫 文光堂 2014年 『なるほど なっとく 内科学』 編集 浅野嘉延 南山堂 2016年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
定期試験 80%、平常点20%
平常点は授業態度、小テストの結果から判断する
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 内科学総論、血圧 | |
2 | 心電図の読み方・不整脈の診断 | |
3 | 循環器1(心不全、心臓弁膜症) | |
4 | 循環器2(虚血性心疾患、動脈硬化) | |
5 | 呼吸機能の評価と呼吸音 | |
6 | 呼吸不全と動脈血ガス | |
7 | 呼吸器疾患 | |
8 | 代謝・内分泌疾患1(糖尿病) | |
9 | 代謝・内分泌疾患2(痛風、甲状腺疾患等) | |
10 | 消化器疾患 | |
11 | 肝胆膵疾患 | |
12 | 膠原病 | |
13 | 腎臓機能と透析 | |
14 | 血液疾患・他 | |
15 | 知識の整理と評価 | |
16 | 定期試験期間 | |