【講義概要】
この講義では、人類の起源と進化を題材に、環境と生物の関係を理解することを目指す。
ヒトでない何者かからヒトへの進化過程の研究は、いまだに最も変化と流動性に富む分野のひとつである。ヒトの起源をめぐって、形質人類学、考古学、古生物学、地質学だけでなく、分子遺伝学、霊長類学からのアプローチも盛んにおこなわれている。ヒトをヒトたらしめた決定的な要因は、直立二足歩行であり、大脳の肥大化や手先の器用さ、さらに言語の使用は、すべて、直立二足歩行に付随したものである。
ヒトが、他の霊長類との共通の祖先から分岐して、独自の道を歩き始めたのは、おおよそ500万年前というのが、形質人類学と分子遺伝学の一致した見解である。こうして、猿人が誕生し、さらに原人、旧人を経て、現世の我々の直接の祖先にあたる新人へと進化した。しかし、原人以降のヒトの形態学的変化は、わずかであり、生物学的には非常に小さい。つまり、われわれ人類は、文化によって驚異的に生活環境が変化したが、人体そのものは、数百万年前からほぼ同じなのである。
現在、人類は、最も熱い熱帯から最も寒い極地方まで、また、過酷な乾燥帯にも、ヒマラヤの高地にも、地球のあらゆる場所に住んでいる。何がそれを可能にさせたのかを、人類がその誕生の地アフリカから、世界中に拡散していった過程を追いながら考察する。
【学習到達目標】
人類の起源と進化を題材に、環境と生物の関係を理解することを目指す。情報についての分析力、論理的思考力の習得を目指す。
【履修上の注意】
ノートの取り方を工夫してください。黒板を写すだけではなく、自分の頭で理解しながらノートにまとめてください。
毎回、講義の終わりに課題を出しますが、丁寧に書くこと。内容だけでなく講義への姿勢も、提出物から判断します。
【事前準備学習】
身近な動物の観察や、人間の歩き方などの動きを考察してください。事後学習として、配布資料や講義ノートから講義内容を復習しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『人間史をたどる』 片山一道・他 朝倉書店 2000年 |
指定図書 | 『一覧』 |
【評価方法】
毎回の講義で課題を出しますので、その課題の答案の内容で平常点をつけます。講義を5回欠席したら失格にします。平常点2割、期末試験(持ち込み不可)8割で成績をつけます。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ヒトの学名 | |
2 | 種とは何か(分類学) | |
3 | 人類進化の道筋(地質年代) | |
4 | 進化の道筋がわかる方法 | |
5 | 人間の特異性について | |
6 | 人類化石の研究 | |
7 | 進化とは | |
8 | 霊長類の形態的特徴(1) | |
9 | 霊長類の形態的特徴(2) | |
10 | ホミニゼーション(直立二足歩行) | |
11 | ホミニゼーション(脳の大型化) | |
12 | 新人の起源(イブ仮設) | |
13 | 言語の起源 | |
14 | 言語の分類 | |
15 | 人類学のまとめ | |
16 | 定期試験期間 | |