【講義概要】
本科目では、中級レベルのミクロ経済理論について講義します。より具体的には、ミクロ経済学の諸理論のうち、「消費者行動理論」・「生産者行動理論」・「一般均衡理論」という3つの理論を取り上げます。
「消費者行動理論」・「生産者行動理論」は、一年次の「ミクロ経済学入門」で学んだ「需要」と「供給」という概念の背後にある理論であり、これらを学ぶことで需要と供給の二概念について一段と深い理解が得られるでしょう。「一般均衡理論」は、二つ以上の財の市場を同時に考え、それらの市場すべてが「均衡」する状態を分析するものです。これは「入門」では扱われなかった新しいトピックであり、「国際経済学」などの発展科目を学ぶ際には必須の内容です。
なお、以上の理論はいずれも「完全競争市場」を前提としたものです。これに対して「完全競争の仮定が成り立たないケース」を対象としたミクロ経済学の諸理論は「ミクロ経済学2」で扱います。
ミクロ経済学の諸理論は本来微分や積分などの数学を用いて構築されているものですが、本講義においては、数学を用いた説明は最小限にとどめ、その代わりに図を用いた視覚的・直感的な説明を主体とするつもりです。ただし、本科目の内容は「入門」と比べてより抽象的で難しいものになっていますので、十分な理解を獲得するには相応の努力が必要です。なお、各回の講義の最後には演習問題を行い、理解の確認を行う予定です。
◆本学部のディプロマ・ポリシーおよびカリキュラム・ポリシーとの関係:
本科目は学部カリキュラムにおける「学科展開科目」の1つであり、その中でも特に基礎的な科目です。本科目の履修を通して、学部のディプロマポリシーに掲げられている次の能力を獲得することが期待されます:
【知識・技能】経済学の基礎的専門知識や分析ツールを使いこなすことができる。
【思考力・判断力・表現力】社会を洞察するための論理的思考力をつけ、因果関係の把握や費用便益の比較考量ができる。
【学習到達目標】
①完全競争市場における消費者及び企業の行動に関するミクロ経済学的な説明を理解し、その説明を(図や式を適宜用いつつ)自ら再現できる。
②ミクロ経済学の観点から見た、市場均衡のもつ「望ましさ」とは何かを理解し、説明できる。
【履修上の注意】
①対面授業においては着席指定とします。
②授業中の私語は慎むこと。注意しても改善が見られない場合には平常点を大幅に減じます。
【事前準備学習】
受講前(2回目以降):前回の講義資料を見直して、重要な概念や用語を復習してください。
受講後:その回の内容を整理・復習して、重要な概念や用語をなるべく暗記してください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 教科書は特に使用せず、授業内容を要約したプリントを毎回配布する予定。 |
参考書 | 『ミクロ経済学の第一歩 新版』 安藤至大 有斐閣 2021年 『今までで一番やさしいミクロ経済学』 小暮太一 マトマ出版 2012年 『ミクロ経済学の力』 神取道宏 日本評論社 2014年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
・期末試験:60%
・平常点:40%
平常点については、各回の課題の成績・実施状況および単元ごとの復習テストの成績によって評価します。
課題に対するフィードバックとして、翌週の授業の冒頭で解答・解説を行います。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | イントロダクション | |
2 | 消費者理論① 選好とは | |
3 | 消費者理論② 無差別曲線の諸性質 | |
4 | 消費者理論③ 選好の凸性と限界代替率 | |
5 | 消費者理論④ 予算制約と最適消費 | |
6 | 消費者理論⑤ 所得の変化と需要 | |
7 | 消費者理論⑥ 価格の変化と需要 | |
8 | 消費者理論⑦ 代替効果と所得効果 | |
9 | 生産者理論① 総費用・固定費用・可変費用 | |
10 | 生産者理論② 平均費用・平均可変費用・限界費用 | |
11 | 生産者理論③ 利潤最大化生産量の決定 | |
12 | 生産者理論④ 供給曲線の導出 | |
13 | 生産者理論⑤ 供給曲線についての補足 | |
14 | 一般均衡理論① 純粋交換経済における均衡 | |
15 | 一般均衡理論② 厚生経済学の第一基本定理 | |
16 | 定期試験期間 | |