【講義概要】
世の中には「歴史」と聞くだけでアレルギーを示す人がいる。本講義では,学生諸君の苦手意識を「少しだけ」軽減することを基本的なスタンスとしている。
その上で,本講義の目的として,「歴史的事象を経済学的に理解すること」を大きな柱としており,特に「資本主義システムの成立過程と特質を解明すること」を重視している。これが経済史学の本質である。
おそらく,「過去の話を学んでも役には立たない」と考える学生は少なくないであろう。しかし,現代の社会経済を理解するためには,現在,表面に現れた「結果」だけではなく,「因果関係」を歴史的な観点から知る必要がある。それらは,機械的な暗記では不可能である。時間軸に沿った,当時の状況や前提条件となる諸要因をも含めて総合的に把握されなければならない。このような学習を通して,「経済社会が抱える様々な課題に対する関心と問題意識が持てる」ような思考を養うことを狙いとしている。
本講義では,上記の目的を実現するために必要な方法,情報の基本部分について紹介してみたい。経済史は,生産・流通・消費・貿易・国際経済・金融・財政等々あらゆる領域を含んでいる。様々な領域の話を聞くことで学生諸君の関心が広がることを期待したい。
歴史は,単に過去の話として受け止めてはいけません。全ては人間の営みがもたらした現象ですので,そこから学ぶことによって,初めて有用な知識となるのです。ここに温故知新の本質があります。
【学習到達目標】
・歴史的事象を通して,経済学の基礎知識を理解すること。
・資本主義社会の特質や成立過程を把握すること。
・現在の社会経済を理解するためのポイントを学ぶこと。
【履修上の注意】
受講にあたっての注意事項を最初の授業でお話しします。
集中して説明を聞いて考えることが重要です。
そして,ノートに書き留めてまとめる作業も大切です。
話を聞くだけで理解できることはほとんどありません。ちゃんと書いて覚えましょう。
なお,状況によっては,授業の順番を入れ替えることや変更があるかもしれません。
あらかじめ御了承下さい。
【事前準備学習】
事前:世界地図を見ること(自然地理の情報が大変重要です)。
事前:可能であれば,高校レベルの世界史(特にヨーロッパ)について復習しておいて下さい。
事後:2回目の授業以降はminute paperで課題を出しますので,期日までに解答すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 特に無し |
参考書 | 『経済史入門』 川勝平太 日経文庫 2003 タイトルに入門と書かれていますが,理解するためにはそれなりの知識を要求します。文章表現という点では比較的読みやすいです。本講義で省略する部分(経済史の理論的背景など)は,この本で補完できます。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
定期試験は行いません。
各授業後に学習内容の確認を行うminute paper,そして授業内容の区切り毎に行う確認テストに基づいて総合的に評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | はじめに ~人間と社会,経済~ | |
2 | 歴史の捉え方 ~経済学的思考と再生産の論理~ | |
3 | 経済生活の原点 ~農業社会の出現~ | |
4 | 経済生活の展開 ~都市の成立と弱点・社会的分業~ | |
5 | 確認テスト1 | |
6 | 人類社会の経済的展開(1) ~中世都市の成立・封建社会~ | |
7 | 人類社会の経済的展開(2) ~黒死病の影響~ | |
8 | 人類社会の経済的展開(3) ~価格革命の影響~ | |
9 | 確認テスト2 | |
10 | 商品経済化の進展 ~経済成長の要件・農村工業~ | |
11 | 絶対王政と市民革命 ~社会構造の変化とは~ | |
12 | 近代資本主義の前提条件 ~商品経済化と資本の集積過程~ | |
13 | 近代資本主義の特質 ~産業資本の形成過程~ | |
14 | 産業革命の環境整備 ~農業革命と資本循環~ | |
15 | 確認テスト3 | |
16 | 定期試験期間 | |