【講義概要】
何らかのデータ(データとは言えないような何かでも)を根拠として、そこから結論を出すことは日常的に行われている。この講義では、いわゆる統計学の専門的な事柄ではなく、そうした根拠から、事実として言える・言えそうなことは何か、について客観的論理的に考える訓練をする。
この科目はカリキュラムポリシー「成熟した市民として必要な教養の獲得」を目標とし、ディプロマポリシーの関連項目は
知識・技能
1) 人間、社会、文化、自然等に関する幅広い知識を身に付けている。
3) 情報収集・分析力、論理的思考力等の技能を身に付けている。
思考力・判断力・表現力
1) 実社会で生起する様々な課題を正確に理解し、それぞれの学問領域に即して解決策を考えることができる。
2) 他者に対して、自分の考えを口頭や文章によって的確に伝えることができる。
である。
注意 第1回では次の内容を扱う。
資料1 竹内久美子「BC!な話」より
…オーストラリアはモナーシュ大学の教授で、王立協会特別会員でもあるR・V・ショートという生理学者が調査したところによると、人間のペニスの長さ(もちろん膨張時)は平均13センチメートルだった。…
設定 資料1を読んだ「A君」が自分の長さを測ってみると、文中の平均値より短かった。ここからA君は「僕は一人前の男ではない」と結論した。
問 「一人前の男の基準は、ペニスの長さである(長い方がよい)」を前提とした場合に、次の論理 根拠:①資料1と②自身の測定値 → 結論「Aは一人前ではない」 が妥当ではない理由を述べよ。
これを題材に用いるのは、問題の所在が分からずに、くだらない興味本位の姿勢で「男の価値はペニスの長さではない」という解答をする人が大変多くいるからである。問は前提の正誤を問題にはしていない。2つのデータ(根拠)①②から何が事実として言えるのかを真摯に考察することができない人は、履修しないこと。
こうしたテーマでは特にこの過誤が見られるので、最初に用いたものである。以後は同様のテーマはほとんど出てこない。
【学習到達目標】
統計において数字がどのように扱われるかに親しみ、単純な印象によって誤った判断をせぬよう、落ち着いて考える習慣を身につけることを目標とする。平均値など統計的な数字の意味(使用する際の注意点)や、込み入った状況での確率の意味などを理解し、適切に扱えるようになること、論理的な議論を構成できるようになることが目標である。
【履修上の注意】
教科書はないので、毎回授業に出席し内容を十分に理解するように努力すること。数式を用いた内容もあるので、数式の扱いには慣れている必要がある。
毎回CCSを通じて「事前資料」を提供する。予習をして臨み、指示に従って課題を提出すること。講義内容は基本的に資料そのままである。
授業では事前資料を参照する用意をすること。パソコンやスマホ等で閲覧してもよい。講義内でCCSを通じ「授業内課題」の提出を求めることもあるので、CCSに接続できる用意をすること。講義後に「授業後まとめ」をCCSで提示するので、確認すること。
非対面の場合には、CCSを活用した基本型授業(教材提示・課題提出)とする。この際も事前に資料を提示し、講義日にはまとめを提示するので、この場合「授業内課題」は締め切りを講義日前にするが、その提出物は成績には算入しない。
【事前準備学習】
グラフを描く、確率を計算するなどの高校レベルの基礎知識を復習しておくことが望ましい。また、日頃から時事的な問題に、現れる数字に注意して、興味をもって接していること、そして毎回の講義とその復習において、物事をいろいろな視点から懐疑の目をもってじっくり考えるという姿勢を保つことが望ましい。
毎回CCSを通じて講義資料を提供するので、予習をして臨み、講義終了後の講義資料を確認して復習および課題提出をすること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
平常点100%で成績評価を行う。平常点は毎回の提出物とまとめのレポート課題により総合的に評価する。なお初回と非対面の回の「授業内課題」(非対面の回(あれば)は締め切りを講義日前に設定する)は成績には算入しない。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 根拠と結論 | |
2 | 平均などの代表値の扱い | |
3 | グラフ、分散、標準偏差 | |
4 | パーセンテージ | |
5 | おかしな数字の扱い方 | |
6 | 全体数の影響 | |
7 | 広告の誇大表現 | |
8 | 中心極限定理と推定 | |
9 | 相関と相関係数 | |
10 | 相関と因果 | |
11 | データに対する姿勢 | |
12 | 統計的検定 | |
13 | ベイズ確率 | |
14 | モンティ・ホール問題 | |
15 | 訴追者の誤謬等 | |
16 | 定期試験期間 | |