【主題】
本演習のテーマは第二言語習得論です。
第二言語習得論では、「外国語の習得は母語の習得とどのように違うのか」、「外国語はどのように学習すれば良いのか」といった問いに対して実践的な知見をもたらしてくれる学問です。日本でも最近見聞きすることが増えた第二言語習得論ですが、まだ広く知られているとは言えません。その理由は、この分野が主に北米を中心としてきたこと、そして、歴史が50年ほどと比較的新しい分野であることが挙げられます。第二言語習得研究は、実験やテストなどでデータを集め、分析をするという方法で答えをみつけるという科学的な手法が用いられます。歴史が浅いとはいえ、これまでかなりの量のエビデンスが積み上げられてきていますから、これらを利用しない手はありません。巷には様々な外国語学習法や参考書であふれていますが、それらの中には第二言語習得研究でみつかった発見とは異なるものも少なくありません。ぜひ、第二言語習得論を学んで自分の外国語学習に活かしてみましょう。
【指導方針概要】
演習では第二言語習得に関するテーマで卒業研究を行います。
3年生は第二言語習得に関する知識と研究手法を学び、4年生は各自で決めたテーマについて卒業研究を進めていきます。以下に、それぞれの学年で学ぶ内容について説明します。
3年生:
第二言語習得論に関するテーマについてグループで調べて発表したり、議論をすることで進めていきます。それぞれのテーマについて教員から指定される資料に基づき発表します。また、各発表のあとはディスカッション・クエスチョンに基づいて議論も行います。以下がテーマの例です。
母国語と第二言語の言語能力の関係
年齢と第二言語能力の関係
早期英語教育について
学習環境が二言語能力に及ぼす影響
性格や態度が言語能力に及ぼす影響
4年生:
卒業研究を行います。テーマは第二言語習得やバイリンガルに関するテーマに関するものであれば何でも自由に選ぶことができます。卒業研究は教員と相談しながら個々で進めていくことになります。学期中に進捗状況を報告する機会があり、それが卒業研究を進めるペースメーカーの役目を果たします。これまでに書かれた卒業研究のテーマは以下のようなものがあります。
上海語バイリンガルのコードスイッチング~自然会話における要因と必要性について~
日本人英語学習者の英文読解に関わる認知的要因
留学中の生活がもたらす英語力への影響
日本とアメリカのユーモアの違い
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
テキスト | 『外国語学習の科学』 白井恭弘 岩波書店 2008 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【学生に対する希望事項】
以下のような学生を希望します。
1. 第二言語習得論やバイリンガルに興味がある人
2. グループワークに積極的に参加できる人
3. 自分で考えることができる人
成績は授業への参加度および卒業論文によって評価されます。卒業論文の評価についてはルーブリックを使用します。ルーブリックは授業の中で説明します。