【講義概要】
国民国家の歴史とはすなわち国家間戦争・紛争の歴史であり、国際政治学もその経験により生まれた学問分野である。戦争の原因究明から始まったこの学問は、現在では国際紛争や国際協力などのメカニズムを究明することを目標としている。この講義では、国際政治学の諸理論の力を借りて、世界で起きている様々な現象の原因を説明していく。本講座は「国際安全保障論」と「国際政治経済論」の2つの領域に大別される。
前半では、なぜ戦争は起こるのか、なぜ軍事同盟を組むのか、なぜテロリズムにうったえるのか、なぜサイバー攻撃は防げないのか、なぜ中国は地域での拡張を目指すのか、といった安全保障にかかわる様々な設問を各週設定し、それらの答えを説明する。後半では、なぜ貿易をするのか、なぜある国は富み、ある国は貧しいのか、といった国際経済における「なぜ」について焦点を当てていく。
本講座は、本学のディプロマポリシーである人間、社会、文化、自然等に対する幅広い知識を身に着け、豊かな国際感覚を整え、社会の発展に貢献できることを目指す。そのため、上記の幅広い設問に答えるためのツールである諸理論を理解し、各々が気になった国際政治に関する現象(時事問題・歴史事象)の原因を論理的に解明する助けとしたい。
また、本学のカリキュラムポリシーは、生徒諸君の社会生活に必要な知識の修得と成熟した市民として必要な教養の獲得を目指している。21世紀では国と国との繋がりがますます緊密になり、そしてある国の行動による他の国の行く末への影響も日々大きくなっている。国家間の協力・紛争が諸君の生活、キャリア、そして明日の食卓に乗る料理を変えかねないこの時世に、それらの原因とメカニズムを学ぶことで、世界に取り残されない力を養ってほしい。
【学習到達目標】
世界で起きていることを認識する力を養い、新聞やニュースの内容を理解するできるようになること、また、それらの因果関係について論理的に考えられるようになることが学習到達目標である。
【履修上の注意】
講義はパワーポイントを使用する。講師が話す内容が全てスライドで表示されるわけではないため、講義内容のノートをとる必要がある。また、講義スライドは授業後、CCSにアップロードされるため、必ず内容に目を通し復習をすること。レポート課題では講義内で扱った理論や概念を駆使することが求められるため、講義中、または復習中にわからない点があったら都度講師にその旨を伝えること。
【事前準備学習】
前回までの講義の復習をし、次回の講義前までに講師に不明な箇所を伝えよう。疑問の多い箇所については次回の講義内で補足説明をする。また、日ごろから国際情勢に関するニュース等に目を通し、自分の気になる話題や事象を見つけ、それらについての情報を集めておこう。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『『新・国際政治経済の基礎知識』』 田中明彦・中西寛 編 有斐閣 2004 『World Politics:Interests,Interactions,Institutions (3rd ed.)』 Frieden,J., Lake, D., & Schultz, K. W. W. Norton & Company, Inc. 2016 上記の参考書は講義内では直接用いず、講義内容のトピックスについて個人が更に深く知りたい場合に勧めるものである。講義内容自体はスライドを参照すること。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
レポート課題の提出100%(レポート課題要綱および評価基準の詳細については第10週に説明する)
評価基準に基づいた課題へのフィードバックは個々の要請により行う。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 世界を形作る歴史 | |
2 | パワーとステータス | |
3 | 3つの“I” | |
4 | 戦争の原因:古典的説明 | |
5 | 戦争の原因:バーゲニング・モデル | |
6 | 国内政治と戦争 | |
7 | 国際組織と戦争 | |
8 | 内戦とテロリズム | |
9 | 新技術と抑止 | |
10 | 日中関係と日米同盟 | |
11 | 国際安全保障の今:ロシア・ウクライナ戦争 | |
12 | 国際貿易 | |
13 | 国際金融 | |
14 | 越境する課題 | |
15 | 国際政治の未来 | |
16 | 定期試験期間 | |