【講義概要】
この講義では、保険法に関する基本的知識の習得を目的とします。保険法についてみれば、保険制度は、われわれの日常生活における様々な危険に備えるための有用な手段として用いられているが、他方で濫用されるおそれの高い制度でもあります。本講義では、保険制度が有するこれら2つの側面を意識しながら、それを法的視点から解説していきます。
われわれが生活していくうえで、保険と何らかの関りをもつことになると思います。皆さんも現在も学生として保険に加入していることでしょうし、また今後も様々な保険に加入することになるでしょう。保険法は、2008年に、約100年ぶりともいえる法改正および商法から単行法化がなされ、世間でも多くの注目を集めてきた。その新しくなった保険法では、消費者保護が一層重視されており、われわれ消費者側としても保険に関する適切な知識を身につけておくことが必要とされる。また、保険法の制定以後、十数年を経過し、重要な判例・裁判例や民法(債権関係)、民法等(相続法)およびその他の法令の改正により、保険法の解釈も大きな影響を受けています。
そこで、この講義では、そのような法改正の影響を踏まえて、実務の動向や裁判例を常に意識しながら講義を展開していきたいと考えております。
【学習到達目標】
この講義は、全15回の講義で保険法上の諸制度、内容、機能に関する基礎的・体系的な理解が得られることを主眼とし、今後現実の社会における応用問題に取り組んで行くことができるようしっかりとした事案の分析能力、解釈論を展開する能力を高めることを目標とします。保険法の解説だけでは上記目標の達成は難しいので、毎回の講義中では具体的なケースを用いて、それを基に保険法の制度の実際の運用、およびその社会実態への合致、制度上の問題をいかにして解決・克服すべきなのかという観点から、保険法の諸制度と現実の社会における問題とをつなげる力の修得を目指したいと考えています。
【履修上の注意】
この授業は、秋学期集中講義(対面形式)で行います。
【事前準備学習】
予習:事前に配布したレジュメ・資料にある設例および重要な裁判例に目を通して授業に臨むこと。
復習:授業のレジュメ・資料等を読み返して、授業内容の理解と定着につとめること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 配布資料を用いて授業を行いますので、教科書はとくに指定しません。 |
参考書 | ①山下友信・洲崎博史編『保険法判例百選』(有斐閣、2010年)、②山下友信ほか『保険法〔第4版〕』(有斐閣、2019年)、③江頭憲治郎『商取引法〔第9版〕』(弘文堂、2022年)、④山下友信『保険法(上)』(有斐閣、2017年)/山下友信『保険法(下)』(有斐閣、2022年)などをあげておきます。最新の裁判例や文献等は、適宜紹介します。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
定期試験(期末試験)100%で評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 保険制度と保険法 | |
2 | 保険契約の当事者・関係者・保険制度の仕組み特徴 | |
3 | 損害保険契約の成立 | |
4 | 損害保険契約の内容 | |
5 | 損害保険契約の内容 | |
6 | 損害保険契約の効果とその変動 | |
7 | 損害保険契約と保険給付 | |
8 | 損害保険契約の終了等 | |
9 | 火災保険契約及び責任保険契約 | |
10 | 自動車保険契約 | |
11 | 生命保険契約の成立・効力 | |
12 | 生命保険契約の給付 | |
13 | 生命保険契約の終了と保険者免責 | |
14 | 傷害保険契約 | |
15 | 疾病保険契約 | |
16 | 定期試験期間 | |