名古屋学院大学シラバス


                シラバス

シラバス 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
3限債権法各論2秋A名古屋 23大久保 紀彦LG3308

【授業情報】

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講義概要

債権各論の後半となる「事務管理・不当利得・不法行為」を扱う。
中心として講じる「不法行為」は、訴訟件数が圧倒的に多く、比較法も含む学説、裁判例・判例の展開が、ルール形成にも大きな影響を与えてきている。講義では、戦前・戦後・現代の判例展開を学ぶことにより、ルール・理論としての精緻化についての知識を得るとともに、時代背景に応じた法による社会問題解決について理解を深めていく。「不法行為」と「契約」との関わりとともに、システムとしての民法の中における「事務管理・不当利得」の位置づけ・意義も理解していく。



【学習到達目標】

毎回の講義テーマに関する、学説史・比較法・条文・裁判例をベースとした知識の定着(法的知識の獲得)。実際の事案における争点、適用される制度・条文を指摘できる応用力(多面的な調査・分析能力)。それらのことを、自分のことばで一定の長さで記述および一定時間での口頭説明ができる力(コミュニケーション能力)。



履修上の注意

第1回に単位付与・評価について具体的に説明をするので、必ず出席してください。
教科書にもとづいて講義を進めて行きますので、教科書を用意できる学生のみ履修登録を行なうよう注意をしてください。
毎回授業後にCCSでMP作成提出があります。評価方法をよく確認したうえで受講を進めてください。



【事前準備学習】

事前学習として、講義テーマにしたがった教科書予習。事後学習として、授業の要点を教科書で確認して適宜問題演習に取組んで復習を行なう。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書『債権各論II-不法行為法(第3版)』 前田陽一 弘文堂 2017
※教科書は、履修にあたって必須です。
参考書『大学生のための民法条文(第2版)』 大久保紀彦 三恵社 2022
『契約侵害による不法行為―「契約の尊重」と第三者の範囲』 大久保紀彦 日本評論社 2021
※参考書は、図書館などで参照いただければ構いません。
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

以下の基準にもとづき総合評価を行なう。
・15回のMP提出(真摯な受講姿勢・積極的参加による講義への貢献により加点・減点) 50点
・テストおよびレポート課題(授業内テスト・レポートを含む)50点



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1自由主義社会における不法行為法の役割。過失責任主義とその補正・修正・例外
2過失(公害・薬害):主観的過失・客観的過失 大阪アルカリ事件(1916)、東京スモン事件(1978)
3過失:ハンドの定式。予見・結果回避義務レベル:東大輸血(1961)、姫路日赤(1995)、製造物責任法(1994)
4因果関係(医療事故・公害):四大公害地裁(1970年代)⇒ルンバール最高裁(1975)、問診(1976)、
5権利・法益侵害:範囲拡大ー雲右衛門(1914)大学湯(1925)⇒違法性理論⇒過失一元化(1970-80年代)⇒権利・法益類型化
6権利・法益侵害(人格的利益1):生命(1999, 2000)、日照権(1972)。家族関係(1979)、国立マンション(2006)
7権利・法益侵害(人格的利益2):名誉毀損(違法性阻却三要件)、民法と刑法判例の相互影響。プライバシー:逆転(1994)
8権利・法益侵害(債権・営業利益:新村長工場誘致中止)。不法阻却事由:年少(少年店員・撃ツゾ) 正当防衛・緊急避難
9損害賠償範囲・金銭的評価。富貴丸(1926)、ウィーン留学(1974)過失相殺 むち打ち(1988)・長い首(1996)・電通(2000)
10損益相殺。損害賠償請求権:間接被害者:近親者・企業損害(真明堂薬局事件)。福島原発大阪(2014)ドーベルマン高裁(2013)
11間接的・債権侵害から、直接的契約侵害へ。賠償による代位、消滅時効:拷問(1973)
12特殊不法行為:共同不法行為 山王川(1968)四日市(1972)交通医療競合(2001)
13監督義務者責任 中学生犯罪(1974)、使用者責任:外形理論(取引的不法行為、事実的不法行為)
14物の管理者の責任 特別法による責任(失火責任法・自賠法・製造物責任法(PL法)・大気汚染防止法・水質汚濁防止法・国家賠償法)
15事務管理・不当利得。財産法の全体像(契約と不法行為、事務管理・不当利得制度の意義)
16定期試験期間