【講義概要】
情報法は、IT技術の進歩により、年単位ではなく月単位で変化しています。ビジネスパーソンや公務員等にとどまらず、学生を含めた一般市民にとっても、情報法を知らないことは「怖い」ことになってきました。情報法を活かすも殺すも、また、情報法に殺されるも、私たち人間次第です。まさに、人間のリーガル・マインドが問われる領域です。
この講義は、1回目は導入として、近時話題となっているテーマを取り上げます。2回目以降は、皆さんが学んできた憲法をベースにして、前半と後半でテーマを分けます。前半(2~9回目)は、IT技術がそれほど関わらなくても成立する「アナログ情報法」です。以前から重要である表現の自由・知る権利・プライバシー権を中心に、メディア法や情報公開・個人情報保護といった、誰もが知っておくべき「ベーシックな情報法」を講義します。その中でも、ヘイトスピーチやアウティングのような、近時特に話題となっているテーマも取り上げます。講師は弁護士として地方自治体で勤務していますので、地方自治体の実務の実情もお話しします。後半(10~15回目)は、IT技術が大きく関わる「デジタル情報法」です。テーマを見てもよくわからないような内容ですが、現実に生じている問題です。実は、ニュース等でも報道されている内容です。皆さんも時代の流れについていき、アナログ・デジタル情報法の意義と問題点を一緒に学びましょう。
【学習到達目標】
①情報法と憲法の繋がりを理解する。
②アナログ情報法を十分に理解し、社会人としての最低限の情報法マナーを身に付ける。
③デジタル情報法をある程度理解し、日々進化する情報法への意識を高める。
【履修上の注意】
授業では憲法、民法、刑法、行政法等にも言及しますが、その場で知識の確認をしますので、知識に不安があっても履修に問題はありません。
【事前準備学習】
参考文献等を読むことが望ましいですが、各テーマをウェブ上で検索して、見つかった記事等を10分程度読み、どのような内容の講義になるのか目星をつけておくことでも、講義の学習効果は大きく高まります。また、講義とは関係なく、ニュース等には常に関心を払ってください。現代社会では情報戦が常に繰り広げられています。情報を持たないことは、武器を持たないことだと言っても過言ではありません。丸腰では、自分も他人も守ることは困難です。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 教科書は指定しません。毎回資料を配布します。 |
参考書 | 『レクチャー情報法』 松井修視(編) 法律文化社 2012 『18歳からはじめる情報法』 米丸恒治(編) 法律文化社 2017 『情報法入門 デジタル・ネットワークの法律(第6版)』 小向太郎 NTT出版 2022 『AIと憲法』 山本龍彦(編著) 日本経済新聞出版社 2018 網羅性があるものは「レクチャー情報法」です。読み易いものは「18歳からはじめる情報法」です。デジタル情報報に関心があれば、「情報法入門 デジタル・ネットワークの法律(第6版)」や「AIと憲法」をお薦めします。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 情報化社会と憲法~違法漫画サイトを例に~ | |
2 | 表現の自由・知る権利・プライバシー権とメディア法 | |
3 | ヘイトスピーチ・アウティングと政策法務 | |
4 | 行政情報の公開① 制度の概要とオープンデータ | |
5 | 行政情報の公開② 行政処分としての公文書開示請求・決定 | |
6 | 行政情報の公開③ 開示手数料から見る「民主主義のコスト」 | |
7 | 個人情報の保護① 官民の個人情報の保護~国家機関から町内会まで~ | |
8 | 個人情報の保護② 個人情報の各種保護方法 | |
9 | 個人情報の保護③ 個人情報の活用・マイナンバー | |
10 | インターネット上の匿名投稿による名誉毀損とIPアドレスの開示 | |
11 | サジェスト汚染と忘れられる権利 | |
12 | パーソナルデータ・ビッグデータと情報銀行 | |
13 | アテンション・エコノミーからインテンション・エコノミーへ | |
14 | IoT・AI時代における既存法の揺らぎ | |
15 | Information Control, or Controlled by Information | |
16 | 定期試験期間 | |