【講義概要】
文化人類学は、「人間とはなにか」を文化を手掛かりに探求する学問です。文化とは人間のさまざまな行動や思考、生活や営みのあり方全体を指します。
西洋の人々が世界各地へと足を踏み出した大航海時代、彼らは自分たちとは異なる文化・生活様式をもつ人々に出会いました。この「異文化」への興味が、文化を研究する文化人類学の出発点といえます。これ以降、文化人類学はさまざまな文化について、現地の人々と共に生活し、記録し、分析するという形で研究を進めてきました。
しかし、文化を学ぶ意味は、異文化の様相を明らかにするだけではありません。異文化を知ることで、私たちが普段「あたりまえ」としている物事、ひいては「自文化」をも見つめなおすきっかけとなるのです。
本講義では、文化の多様性と普遍性を追求する文化人類学の学術的アプローチについて、世界の多様な文化を取り上げながら学んでいきます。まず文化人類学の基本的な研究概念と研究手法について扱い、次に文化人類学的トピック(生業と暮らし、家族、婚姻、信仰、など)を、文化人類学の基礎的研究を参照しながら確認します。そのうえで、異文化との対話を通して私たちたちが「あたりまえ」とする自らの諸制度や考え方や文化を問い直す視点、および異文化と対話するという姿勢を身に着けていきます。(本科目は本学ディプロマポリシーの「知識・技能」における、「人間、社会、文化、自然等に関する幅広い知識を身に付け」るという目的に沿って授業を構成しています。)
【学習到達目標】
・ 人や社会を考えるための文化人類学の方法論と学説について理解する。
・ 身の回りの事象や現代社会的課題に対する文化人類学のアプローチの可能性について理解する。
【履修上の注意】
・この授業は、非対面授業週の講義を、CCSを活用した基本型授業(教材提示・課題提出)で実施します。
・ 授業の出欠席については以下の通りです。
・ この授業では、学生証がリーダーにかざされた記録がある場合に出席とします(非対面授業の場合は都度指示します)。
・ 出席回数が総授業回数の3分の2に満たない場合は「失格」となり、期末レポートを提出することができなくなります。
・ 授業資料を配布しますが、合わせてメモ・ノートをとるようにしてください。
・ 授業では内容に関する映像資料や映画、ドキュメンタリー番組などを使用する予定です。
【事前準備学習】
・ 授業で取り上げるテーマについて、事前にインターネットや下に掲示する参考書、図書館の資料などを用いて調べておくこと。
・ 授業の内容について、復習すること。理解できない箇所・キーワードは各自調べておくこと。
・ 世界の文化や情勢に関する新聞・ニュース・インターネットなどの情報に積極的に関心を向けておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 教科書は使用しない。毎回授業プリントを配布する。 |
参考書 | 『詳論文化人類学 基本と最新のトピックを深く学ぶ』 桑山敬己・綾部真雄 ミネルヴァ書房 2018 『よくわかる文化人類学』 綾部恒雄・桑山敬己 ミネルヴァ書房 2010 『暮らしの中の文化人類学 平成版』 波平恵美子 出窓社 1999 『文化人類学20の理論』 綾部恒雄 弘文堂 2006 『学びのきほん はみだしの人類学 ともに生きる方法』 松村圭一郎 NHK出版 2020 シラバスに掲載したもの以外は都度授業内で指示する。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
小テスト30%、課題20%、学期末レポートの成績50%で評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 文化とはなにか | |
2 | 異文化とはなにか | |
3 | 異文化を理解する | |
4 | 文化人類学とは | |
5 | 文化人類学の理論 | |
6 | 文化人類学から「生きる」ことを考える ①人の一生 | |
7 | 文化人類学から「生きる」ことを考える ②死 | |
8 | 文化人類学から「つながる」ことを考える ①親族 | |
9 | 文化人類学から「つながる」ことを考える ①婚姻 | |
10 | 文化人類学から「価値観」を考える ①象徴 | |
11 | 文化人類学から「価値観」を考える ②信仰 | |
12 | 映像資料から文化人類学を考える ①視聴 | |
13 | 映像資料から文化人類学を考える ②解説 | |
14 | 文化人類学から「他者」を考える ①民族 | |
15 | 文化人類学から「他者」を考える ②マイノリティ | |
16 | 定期試験期間 | |