名古屋学院大学シラバス


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【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
4限【教養】日本史秋A名古屋 21上野 史朗AW1301

【授業情報】

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講義概要

・日本史は日本の国の歴史ではない。日本に生まれ、育った人々の歴史、新たにやってきた人々の歴史をいう。また日本の地に居住する人々と、それに関わってきた人々の歴史でもあることを学びたい。
・日本史を学ぶにあたり、まず第一に、いつから人々は自分の生活する国を、日本と意識するようになり、自らを日本人と自覚するようになったのかを考えたい。
・次いで、自分を日本人であるとする条件にはどのようなものが必要なのかを考えたい。
・さらに北海道、沖縄県の成立、日清戦争そして韓国併合を契機に獲得した植民地に生活していた人々と、日本人との関係につき学びたい。第1次世界大戦後に、ドイツが領有していたミクロネシアの地域を、国際連盟では日本の委任統治領として統治するようになったが、そこに居住する人々と日本人との関係についても考えたい。
・アジア・太平洋戦争中に、軍事的に占領した地域の人々と、日本との関わりにつき学びたい。
・サンフランシスコ平和条約締結後に日本国籍を喪失した旧日本人たちのその後について学びたい。
・近現代史を学ぶために大事なことは広い視野と柔軟な頭をもって歴史事象をみることなので、日本だけを他国と比べ優れているといってみたり、逆に日本が劣っているなどと狭い視野から主張しないようにしたい。そのためにも残された多くの史料を読み、ありのままの歴史を理解するよう努力したい。
・半年間の短期間の授業であるが、歴史の学習が暗記することではなく、考えることだと実感できるようにしたい。



【学習到達目標】

・自分を日本人だとあたりまえのように思ってきたが、実はそうではなく、様々な条件が備わって初めて自分が日本人となったのだということを学べるようにしたい。
・また過去には現在よりも広い地域に住んでいた人々も日本人であったことを学べるようにしたい。近年では世界各地からやって来た人々が新たに日本人となっていることについても認識できるようにしたい。
 



履修上の注意

・さまざまな機会を利用して歴史に関わる情報を入手してほしい。歴史書、博物館訪問、テレビ番組、映画、インターネットなどから教えられるところは多いが、インターネットからの入手情報だけが正しいと信じるような単純な考えだけはもたないでほしい。きちんと本を読むこと、史料を解釈することといった地味な学習も重要だということを知ってほしい。
・文献、史料には現在使われないような難しい漢字、語彙、表現などがあるが、少しずつでよいから理解できるようにしておくと、今後の自分の日本史の学習に大いに役に立つと思われるので、辞書などを利用して学んでほしい。
・この授業は、新型コロナの感染状況に依り、対面(面接)授業と非対面授業を隔週で実施することがある。非対面授業ではCCSを活用した基本型授業(教材提示・課題提出)で実施する。
・課題のレポートは必ず提出すること、提出がない場合は失格となる。



【事前準備学習】

開講前
 江戸幕府が幕末まで関係を持ち続けていた国は、どこか。そしてその国に対しどのような応対をしていたのかを調べておいてほしい。
各授業前
 CCSにアップされた教材をダウンロードして予め資料に目を通しておいて欲しい。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書授業時にプリントを配布。授業後にはCCSからも教材をダウンロードできる。
参考書『<日本人>の境界』 小熊英二 新曜社 1998
『植民地帝国日本の文化統合』 駒込武 岩波書店 1997
『沖縄の殿様』 高橋義夫 岩波新書 2015
『戸籍と国籍の近現代史』 遠藤正敬 明石書店 2013
『戦争と知識人』 北河賢三 山川出版社 2003
『近代日本とアイヌ社会』 麓慎一 山川出版社 2002
『幕末・明治期の国民国家形成と文化変容』 西川長夫 新曜社 1995
『日露戦争の世紀』 山室信一 岩波新書 2005
『ゲンダーヌ ある北方少数民族のドラマ』 田中了/D・ゲンダーヌ 徳間書店 1993
『川路聖謨とプチャーチン 今蘇える幕末の日露外交史』 匂坂ゆり 桜美林大学北東アジア総合研究所 2016
川村湊『海を渡った日本語 植民地の「国語」の時間』青土社、山川力『明治期アイヌ民族政策論』未来社、佐藤雅美『官僚川路聖謨の生涯』文春文庫、高田宏『言葉の海へ』新潮文庫、中内敏夫『軍国美談と教科書』岩波新書、上笙一郎『満蒙開拓青少年義勇軍』中公新書、鄭大均『日本(イルボン)のイメージ』中公新書、石田雄『記憶と忘却の政治学』明石書店、金誠『孫基禎―帝国日本の朝鮮人メダリスト』中公新書
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

 コロナの感染状況によって変更することがある。原則的には定期試験の結果で評価する。非対面式授業となった場合には、提出された課題レポートを評価対象とする。
 対面・非対面のいずれにせよ毎回授業の開始前までにCCSにアップした教材を用いて講義するため、講義内容とプリントの内容を、どこまで理解したかが、評価の対象となる。対面式授業の場合、試験は論述問題なので、しっかりとした文章で書かれていないと評価しない。コロナの感染状況により全面的に非対面式授業となった場合には、課題として複数回提出するレポートで評価する。




【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1「日本人とはなにか」を考える
2近代日本の成立
3琉球王国の日本編入
4琉球人の同化政策
5蝦夷地の日本編入
6アイヌ・北方少数民族の同化政策育
7国語の誕生と人類学
8戦勝国の驕りと多様な国民意識
9植民地の新日本人と同化政策
10国民意識の高揚
11プロパガンダと学校教育による国民の戦意高揚
12植民地における皇民化政策
13占領地における皇民化政策
14日本の敗戦と旧日本人の処遇
15「日本人とはなにか」をもう一度考える
16定期試験期間