【講義概要】
ふだん宗教には全く関心のない日本の人々が、新型コロナウイルスの流行によってアマビエなる疫病封じの妖怪を拝んだりしています。
キリスト教は社会と倫理におけるあらゆる領域に発言をしています。環境、ジェンダー、民族、社会階層と貧困…。
今年度はこの3年余り私たちと全世界を苦しめてきた新型コロナウイルスの流行を念頭に置きながら、疫病に対してキリスト教がどのように関わってきたかを歴史的に検証します。
※教員の実務経験:牧師。長崎県諫早市、名古屋市、鈴鹿市で日本キリスト教団の牧師として教会に仕えながら、雲仙普賢岳噴火災害のボランティア、東海水害のボランティア、また予想される東海・東南海地震への教会の対策委員会の委員として活動してきた。
※実務経験をいかした教育内容:家族や職場、社会の中でうまくやっていけない人、災害の中で置いてきぼりにされてしまう人、そんな人が共に生きられるためにどうしたらいいかをキリスト教の伝統に学びつつ考えましょう。
【学習到達目標】
災害や疫病など、人の手の及ばないところからくる災いと宗教の関わりを知る。
ユダヤ教、キリスト教の疫病との関わりの歴史を知る。
科学技術の発達によっても超えられない生老病死との向き合い方を考える。特に神と生きる生き方を考える。
命を大切にする心と生き方を身に着ける。
【履修上の注意】
教室では極力マスク着用、他の人との距離を保つこと(マスクをしていても距離が近いと感染する)。
原則として毎回簡単なレポートを書いてもらうので、その都度真剣に取り組み、自分の考えを表現できるよう努める。
毎回の授業が関連性を持っているので、毎回の授業を大切に。
授業内容について質問があれば、授業時以外でもCCS等を用いて連絡してほしい。
学生証を忘れないように!! 忘れても提出物を出していれば出席にしますが、私が読んで欠席から出席に変えるのはかなり後になります。
【事前準備学習】
授業前に教科書の該当ページを読んでおいてください。
新型コロナはじめ、感染症にたいする政治や諸宗教の動きに注意してください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『疫病の精神史 ――ユダヤ・キリスト教の穢れと救い (ちくま新書)』 竹下 節子 筑摩書房 2021年 教科書として指定した聖書以外でも、現に教会に定期的に出席していて、その教会の公用の聖書がある場合はそれでも構いません。
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参考書 | 『聖書 新共同訳』 日本聖書協会 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
①試験 50%
②授業へのコメント 30% 毎回の授業へのコメントを0~2点として数値化します。内容が論理的であり、授業とかみあっていることが求められます。
③チャペルレポート2回(学期の前半・後半各1回)以上、または教会出席レポート学期中に1回以上を20点満点とします。学内の礼拝や教会の説教で語られたことが「倫理」と関係がある内容だった時はそれについて書き、その他、教会の教職者や信徒と話をしてみて、どんなところだと感じたかをレポートする。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | イントロダクション | |
2 | 新型コロナウイルスの蔓延がキリスト教及び現代社会に与えた影響 | |
3 | 旧約聖書の中で疫病と神との関係 教科書p33~ | |
4 | 新約聖書の中で疫病と神との関係 教科書p44~ | |
5 | カトリック教会主導の医療 p61~ | |
6 | パラケルスス以後 p77~ | |
7 | 疫病と戦う聖人たち p93~ | |
8 | カトリック改革以降の疫病と聖人たち p109~ | |
9 | 宗教的「清め」と衛生観念 p123~ | |
10 | キリスト教と衛生観念の変移 p140~ | |
11 | フィレンツェとフランスにおける政治と癒し p161~ | |
12 | ルイ16世以後 p182~ | |
13 | 「永遠のいのち」と医学 p205~ | |
14 | シャルル・ペギー 社会主義者からカトリックへ p223~ | |
15 | 私たちの日常生活での体験と授業のすり合わせ | |
16 | 試験 | |