【講義概要】
現在,地球上に生息する生物は,40億年もの時間をかけて自らの生命を絶やさず維持し進化を続けている。その進化の歴史を振り返ると,ときには同種や他の生物と競争・共存をし,自らの生息圏を極限まで広げながら,子孫を増やすための戦略を編み出してきた。そのような進化を遂げてきた強靭な生命力や適応力のしくみはどこにあるのだろうか。本講義では,初めに化学的観点から生命を構成する分子についての知識を得ることから出発し,生物の概念,さらには,ヒトの体や生物の進化のしくみについて広く理解することを目標としたい。併せて,これまで生物を選択してこなかった学生も考慮しつつ,一般教養としての生物を身につけることを念頭に置いて授業を進める予定である。最後に,これまで10年間従事してきた最新の生活支援ロボットを使った実証研究や病院との連携を通じた医工学研究について紹介し、人間や生体に関わる生物学との関わりの可能性について講義する。
【学習到達目標】
初めに,生物の定義について考察することで生物の概念について理解を深め,化学的観点から,生体構成物質や細胞の構造について知識を深める。次に,これらの知識と概念を基に,生命活動に関わるDNA, RNAの動作原理や遺伝学の基礎について理解することを目標とする。最後に,ヒトの体や脳神経のはたらきについても必要な知識のポイントを押さえて,遺伝子・神経工学をはじめとするテクノロジーとの関わりについて言及し,現代における生物学と社会との関わりを念頭に知識を深めることを目標とする。
【履修上の注意】
授業には毎回出席すること。
理解度を確認するための演習問題や事前資料を必要に応じてWebシステム上にあげるので参考にしてほしい。
【事前準備学習】
事前にシラバスの授業内容を確認し,配布資料を参考に事前学習することが望ましい.
さらに,日頃から生物多様性,自身に起きる体のしくみ(病気,睡眠,学習,記憶,身体の成長,老化等),地球環境(地球温暖化,生態系,生物多様性,種の絶滅等)に対して関心をもつことが望ましい.
この授業は,非対面授業週の講義を,CCSを活用した基本型授業(教材提示・課題提出)で実施します.
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 必要に応じて,Webシステムにて,授業に関するプリント,および演習問題をPDF等の電子ファイルで配布する。 |
参考書 | 『キャンベル生物学』 池内昌彦, 伊藤元己, 箸本春樹, 道上達男 (監修, 翻訳) 丸善出版 2018 『生命の化学 -バイオサイエンスの基礎づくり-』 安藤祥司、熊本栄一、兒玉浩明、高崎洋三 著 化学同人 2001 『ゆかいな生物学 -ファーンズワース教授の講義ノート』 フランク・H. ヘプナー(著) 朝倉書店 1991 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
毎回授業後の課題提出,平常試験,定期試験
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 生物の世界 | |
2 | 生物と生命の定義 | |
3 | 細胞のしくみ | |
4 | アミノ酸 | |
5 | 生命の起源 | |
6 | 遺伝子(その1) DNAとRNA | |
7 | 遺伝子(その2) DNAの複製機構 | |
8 | 遺伝子(その3) 転写と翻訳 | |
9 | これまでのまとめ | |
10 | 遺伝学と進化 | |
11 | ウイルスの進化 | |
12 | 生物と脳(その1) ニューロンの構造 | |
13 | 生物と脳(その2) 脳と身体運動のしくみ | |
14 | 現代の遺伝子工学と神経工学 | |
15 | これまでのまとめ | |
16 | 定期試験期間 | |