【講義概要】
日本の伝統的な文化の一つとして陶芸があります。その長い歴史は日本の生活や文化とともに独自の発達を遂げ、現在は世界中から注目を集めクールジャパンの一つとして、国も世界への発信に努めています。
まずは日本の焼き物の歴史、そして日本でも有数の焼き物産地が集積する東海地方にある本学として、地域社会の歴史との関係性も含めて理解を深めます。
次に地域環境と密接に関係する焼き物の素材を理解し、限られた条件の中でも実際に触れてみることも含め、焼き物が生まれてゆく工程を体感します。
焼き物は地域社会では伝統産業として捉える側面がある一方、中世からは美術品・工芸品としての側面も広がってゆきます。講義中盤はその文化的な側面をテーマに据えて、茶の湯・食文化などから、日本の独自性や世界との比較を通じて多文化理解の深化に繋げます。
後半は刻々と変わってゆく世界の情勢の中で、日本の文化である「陶芸」がどのように生活の中にあり続け、世界の中で存在感を示してゆくかを考察し、卒業後、社会に出た後もグローバル社会の一員として「陶芸」をキーワードに日本の手仕事の文化を理解し、語れることを目指します。
*教員の実務経験 : 伝統的工芸品 瀬戸赤津焼の窯元の十二代として1982年から家業を受け継ぐ。
*実務経験を生かした教育内容 : 長年の職人仕事の継承から得られた伝統技法の紹介や、2000年、JICA専門家としてメキシコへ窯業技術指導へ行くなど、世界各地での展示会、陶芸指導の経験を生かしながら、日本と海外の焼き物文化の違いを幅広く解説する。
【学習到達目標】
本学のある中部地方は日本でも有数の焼き物の産地を多く有し、それぞれの地域の文化と密接に関係しています。これまでの産業としての焼き物ではなく文化の側面からの「陶芸」に関する知識を身に付けることで、世界の各地域との違いや関係性を理解することを目指します。
近年は海外からの来訪者も増加し、日本の文化に対する知識も高まっています。
日本で学んだ国際人として、「陶芸」を切り口に地域社会の歴史・地域の自然環境・日本の食文化・日本の美術工芸など、基本的な知識として世界に発信できる人材育成を目指します。
【履修上の注意】
講義の態度、平常点が重要となります。
講義のテーマに関連した課題で簡単なレポートの提出を求めます。
この授業は基本的に対面授業で行いますが、社会的な事情により非対面授業となった場合はCCSを活用した基本型授業と、工房からのライブを含めたTV会議システム(Teams等)を併用して実施します。
Teams 招待コード : 【木5加藤】陶芸論
【事前準備学習】
それぞれの出身地域の近くにある焼き物の産地について、興味を持って調べてみてください。
伝統的な手仕事の作品、各種美術工芸の作品を鑑賞する機会を持ってください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 毎回の講義はプリントを配布します。 |
参考書 | 『やさしい陶芸』 加藤 霞仙 マール社 1990 さらに深く陶芸を学びたい場合は購入を勧めます。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
授業態度と随時行なう課題に関するプリントの提出に基づいた平常点で評価をします。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 自己紹介と講義概要 | |
2 | クールジャパンと焼き物文化 | |
3 | 日本の焼き物の歴史 - 古代 | |
4 | 日本の焼き物の歴史 - 中世 | |
5 | 東海地方の陶産地の歴史と現状 | |
6 | やきもの(素材と制作技法) | |
7 | 粘土を使った実習(対面) または 器の種類と使い方(非対面) | |
8 | やきもの(釉薬・窯の歴史) | |
9 | 「わびさび」の文化と焼き物 | |
10 | 日本の絵模様と焼き物 | |
11 | 世界と日本の食文化と器 | |
12 | 芸術・アートの考察 | |
13 | ライフスタイルの変化と焼き物 | |
14 | 世界の陶芸事情 | |
15 | 世界の手仕事の未来と焼き物 | |
16 | 定期試験期間 | |