名古屋学院大学シラバス


                シラバス

シラバス 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
1限消費者法秋A名古屋 23野口 大作LG3331

【授業情報】

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講義概要

 消費者法は、さまざまな消費者問題に対応するために、新たに制定された特別法(消費者契約法、特定商取引法、消費者安全法、消費者裁判手続特例法など)のほか、別の目的で制定された既存の法律に消費者保護の規定を取り入れたもの(旅行業法、食品衛生法、宅地建物取引業法など)や、民法・商法・行政法・手続法・刑法など一般法上の、消費者問題にかかわる諸規定・制度、さらには、地方公共団体の条例や規則等に至るまで、消費生活にかかわるさまざまな形式の法から成り立っている、「消費者保護に関する法規の総体(複合体)」です。したがって、消費者法は、「消費者法」という独立の法典として存在するものではありません。
 この授業では、まず、理解しにくい消費者法の全体像(消費生活にかかわる法の総体)について概説するとともに、消費者基本法によって、消費者法体系の基礎におかれている消費者像や、基本理念・基礎概念・定義等について学習します。また、消費者関連特別法とそれに対する一般法としての民法、民訴法、行政法等との関係を考察して、消費者法の輪郭を明らかにし、さらに、消費者法の中心を形成している、消費者契約法(不当な勧誘、説明・情報提供義務、不当な契約条項等)、特定商取引法(訪問・電話勧誘販売、キャッチセールス、マルチ商法、通信販売、インターネット販売等)など、個々の一般消費者法の目的・内容・機能等について学習します。
 次いで、個々の特別な消費者問題として、貸金・金融商品取引(サラ金、投資取引)、不動産取引(欠陥住宅・マンション問題)、医事紛争(医療事故)、製品の安全(薬害訴訟、電化製品による事故等)、不当な広告や偽装表示(誇大広告や食品表示・メニューの偽装)などのほか、消費者団体訴訟について、実際に社会で多発している具体的消費者問題ごとに、できるだけ多くの判例・事例を検討しながら、特別消費者法の対応状況や裁判所の判決を考察し、実際の消費生活にあてはめて問題解決の方法を探求します。



【学習到達目標】

 まず、消費者法とそれに対する一般法としての民法・行政法・民事訴訟法等との関係(消費者法の輪郭)、消費者法を形成している個々の消費者法の目的、内容、機能等(消費者法の内容)について理解し、次に、金融商品取引、不動産取引など具体的消費者問題ごとに、消費者法と判例がいかに対応しているかを理解し(消費者法の実働理解)し、ひいては、具体的事案について適用されるべき法を発見し、それを解釈・適用することによって消費者問題を解決できる力(自らの問題解決力)を身につけます。



履修上の注意

 消費者法は、様々な形式の多数の法によって形成されている複合法ですから、体系性をもって書かれた基本書なしに、独学で学ぶことは極めて困難です。必ず、教科書を購入した上で、授業に臨んでください。
 消費者法を理解することは、民法の限界を理解することであり、民法の限界を理解すれば、消費者法の理解が深まると言われています。特に、民法の総則・契約法・不法行為法を履修済または履修中であることが望ましいです。




【事前準備学習】

 授業に際しては、次回の講義内容を伝えます。必ず教科書を購入したうえで、事前に該当箇所について教科書を読んできてください(最低2時間の予習)。また、授業後には、教科書とレジュメ・ノートを中心に復習し、理解が難しい場合には、参考書・判例集・配布資料などを参照しながら、理解を深めてください(最低2時間の復習)。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書『基本講義消費者法(第5版)』 中田邦博・鹿野菜穂子編 日本評論社 2022年
参考書『消費者法講義(第5版)』 日本弁護士連合会編 日本評論社 2018年
『別冊ジュリスト消費者法判例百選〔第2版〕』 河上正二・沖野真己編 有斐閣 2020年
『消費者法』 宮下修一ほか 有斐閣 2020年
『消費者法』 大澤彩 商事法務 2023年
『消費者法六法(2022年版)』 甲斐道太郎ほか 民事法研究会 2022年
『消費者法(第4版)』 大村敦志 有斐閣 2011年
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

授業内容を踏まえた課題レポート85%及び平常点15%で評価します。



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1授業ガイダンス
2消費者問題の変遷と構造
3消費者像と消費者基本法
4消費者契約と民法
5消費者契約法(1)
6消費者契約法(2)
7消費者契約法(3)
8特定商取引法
9消費者信用取引(割賦販売法)
10具体的紛争類型(1):金融信用取引に関する消費者問題
11具体的紛争類型(2):不動産に関する消費者問題
12具体的紛争類型(3):消費者生活の安全
13具体的紛争類型(4):医療に関する消費者問題
14具体的紛争類型(5):広告表示に関する消費者問題
15紛争解決手段としての訴訟
16課題レポート提出