【講義概要】
本講義では、主として株式市場を規律する金融商品取引法(「金商法」と呼びます)を学びます。株式市場というと「投資」や「投機」といった言葉が思い浮かび、自分には無関係だと思う人が多いかもしれません。しかし、年金や銀行預金など私たちの様々な資産が間接的に株式市場に投資されています。このように株式市場は、私たちの貴重な資産運用の場となる一方で、企業が設備投資や企業買収を行う際に必要となる資金を調達する場でもあります。金商法の規律に違反した社会的な事件が数多く発生するため、ディプロムポリシー上、特に「実社会で生起する様々な法的課題を正確に理解し、解決策を考える能力」を身につけ、資産を運用する市場参加者と企業が株式市場にどう接していくのか、そのルールと制度を詳しく学習していきます。カリキュラムポリシーのうち、商事法科目に該当することから、その他、手形法・小切手法、会社法とあわせて履修するとより理解が深まります。
【学習到達目標】
近時、有価証券報告書虚偽記載を理由とした事件が多く発生しています。金商法がこういった違反行為をどう規律しているのかを理解することを目標とします。
①市場規制がなぜ必要なのかその目的を理解すること
②情報開示に何が必要かを理解すること
③インサイダー取引など不公正取引を理解すること
④業者規制を理解すること
【履修上の注意】
会社法と金商法は密接に関連しています。金商法を履修する場合、または履修した後に会社法を履修すると理解が相互的に膨らみます。
【事前準備学習】
指定された教科書は最低限の知識となるため、参考書・指定図書も事前事後に参照するようにしてください。授業終了後、必ずCCSで小テストを実施してください(毎回5問)。小テストの結果が科目評価の対象となります。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『最新金融商品取引法講義〈第5版〉』 松岡啓祐 中央経済社 2019 |
参考書 | 『基礎から学べる会社法(第4版)』 近藤光男他 弘文堂 2016 教科書に掲載されない領域は講義資料で補う。 |
指定図書 | 『一覧』 |
【評価方法】
小テスト75%(全75問)、定期テスト(「学びの振り返り*」論述)25%
*金融商品取引法を学ぶ上で、最初に「何」を目標に取組んだか(計画)、15回の授業で「何」を学んだか(結果)、それをこれから「どう」自分に役立てるか(実践)を論述する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 1: ガイダンス:市場規制の目的 | |
2 | 2: 有価証券の定義 | |
3 | 3: 発行市場の規制 | |
4 | 4: 流通市場の規制:①開示 | |
5 | 5: 流通市場の規制:②公開買付 | |
6 | 6: 流通市場の規制:③大量保有報告制度 | |
7 | 7: 不公正取引:①インサイダー取引 | |
8 | 8: 不公正取引:②相場操縦 | |
9 | 9: 不公正取引:③一般規定 | |
10 | 10: 投資勧誘の規制 | |
11 | 11: 業者規制:①金融商品取引業者等の規制 | |
12 | 12: 業者規制:②登録金融機関他 | |
13 | 13: 金融商品取引所の規制 | |
14 | 14: 金融監督 | |
15 | 15: 自主規制(プリンシプル) | |
16 | 16: 定期試験期間 | |