名古屋学院大学シラバス


                シラバス

シラバス 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
4限行政救済法1春A名古屋 23國井 義郎LG3302

【授業情報】

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講義概要

 「行政法総論1」、「行政法総論2」での授業内容(行政作用法、行政組織法、公物法)への理解を前提としつつ、行政救済法の領域の内、国家補償(国家賠償法、損失補償、「国家補償の谷間」などに関連する事項)の範囲を取り扱う。
 すなわち、本講義は、行政法上の救済が必要となる局面において、違法な処分などの是正を求める行政争訟(行政事件訴訟および行政不服審査<行政不服申立て>を中心とした体系)とは異なる、行政救済に関する金銭的な解決を目指す国家補償を対象とする。
 なお、本講義は、カリキュラム・ポリシーに掲げる専門科目の中の公法科目に該当し、ディプロマ・ポリシーに掲げられている専門的法的知識とリーガル・マインドを修得することを通じて、正義・公平・博愛の精神に立ちながら、社会で生起する様々な法的課題を正確に理解し、解決策を考える能力を身につけることを重視している。

 



【学習到達目標】

1,行政法体系の中における行政救済法の位置づけを理解できていること。
2,行政救済法の体系を総合的に理解しつつ、両者について明確に説明することができること。
3,損失補償について、憲法上の財産権保障と損失補償制度の仕組みを前提としつつ、憲法、土地収用法、損失補償基準要綱等の条項を基に、明確に整理した上で、判例や行政実務運用と関連させながら説明することができること。
4,国家賠償制度の沿革および概要について、憲法規定、民法規定および国家賠償法を基に、明確に説明できること。
5,「国家補償の谷間」の補償について、判例や学説に沿って明確に説明することができること。



履修上の注意

 本講義を履修するに当たっては、「行政法総論1」、「行政法総論2」、「行政救済法2」、「地方自治法」、債権総論および債権各論(とくに不法行為など)に関する授業を履修していることが望ましい。



【事前準備学習】

 損失補償の学習に際しては、憲法の財産権保障に関する十分な理解が前提となるので、まずは憲法29条の仕組みを総合的に理解できるように準備することが要求される。
 国家賠償の学習に際しては、主権無問責の理論(「国王は悪をなしえず」の理論)の克服に代表される憲法レベルでの学習を前提として、なぜ国家賠償制度が必要なのかについて充分に準備をすることが要求される。さらに、国家賠償の学習に際して、民法上の不法行為責任に関する理解や債権法に関する一般的な理解が前提となるので、民法とくに財産法の分野を広く理解していることが求められる。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書『行政法概説Ⅱ 行政救済法<第7版>』 宇賀克也 有斐閣 2021
一応、シラバス作成時の最新版を示しましたが、新学期において最新版のものを入手するように心がけてください。
参考書『行政救済法』 芝池義一 有斐閣 2022
『行政救済法<第2版>』 神橋一彦 信山社 2016
『別冊ジュリスト『行政百選Ⅱ<第8版>』 斉藤誠=山本隆司編 有斐閣 2022
一応、シラバス作成時の最新版を示しましたが、新学期において最新版のものを入手するように心がけてください。
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

本講義では、学期末試験(80%)および小テスト(20%)の点数を基に、両者を合算した点数をもって成績評価を行う。



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1行政救済法とは
2損失補償とは-憲法上の財産権補償、損失補償制度の沿革およびその概要-
3損失補償の要否-損失補償の要否を決める判断基準-
4損失補償の要件(1)-憲法29条3項、土地収用法、損失補償一般基準要綱など-
5損失補償の要件(2)-損失補償一般基準要綱(続き)、長期にわたる土地利用規制-
6損失補償の内容-権利対価補償、補償額の算定方式、付随的損失、その他-
7国家補償の谷間-概要、解釈論、立法論-
8国家賠償とは(1)-憲法上の根拠、国家賠償制度の沿革およびその概要-
9国家賠償とは(2)-国家賠償法と民法-
10国家賠償法・国家賠償法1条に基づく責任(1)-代位責任説、自己責任説、公務員-
11国家賠償法・国家賠償法1条に基づく責任(2)-「公権力の行使」、「国又は公共団体」
12国家賠償法・国家賠償法1条に基づく責任(3)-違法性一元論と違法性二元論ー
13国家賠償法・国家賠償法1条に基づく責任(4)-立法権、司法権、職務行為基準説、責任-
14国家賠償法・国家賠償法2条に基づく責任(1)-「公の営造物」、無過失責任、瑕疵-
15国家賠償法・国家賠償法2条に基づく責任(2)-道路(人工公物)と河川(自然公物)、-
16国家賠償法・その他の問題-費用負担者の責任、外国人への適用など-