【講義概要】
なぜ租税(税金)というものがあるのだろう。租税は、国・地方公共団体が国民に提供する諸々の公共サービスの為の資金を調達するために存在している。租税法は、その調達の方法やルールを定める法律である。
誰にどのように租税を課すか(負担させるか)については、いかなる公平性を確保するかが問題となる。より多く払える人に課すのか、より多くの公共サービスを受ける人に課すのか、さまざまな考え方が有り得る。さらに、政策の影響もあり得る。さらにこうして定立された租税法に対して、これをどのように解釈し適用すべきかという議論も生じ得る。
租税は、人の財産を強制的に国家に移転させるものである。租税法を学ぶことは、国家が不当に人の財産を取り上げることを抑制する効果もある。もちろん正しく納税することは国民の義務である。反面、課税庁の不当なあるいは誤った課税に対しては、きちんと対抗できる能力を身に着けることが望ましい。
そこで本講では、まず租税の体系を概観したうえで、比較的身近な租税についてその内容と論点について学習する。授業を通じて、正しく納税するひとりの国民としての能力を身に着けてほしい。
【学習到達目標】
租税法の仕組みと考え方の基本を身につける。そのための基礎となる法律的なものの考え方、法の解釈、不服申立制度・裁判制度等についても、その基本を身につける。
【履修上の注意】
租税法は、それ単独では理解が難しいことが多い。憲法、民法、行政法、行政事件訴訟法等多くの法律的知識を養う必要がある。講義においてもこれらを見直しながら進める予定であるが、各自においてもこうした法律について復習しておいてほしい。
【事前準備学習】
各回の授業に関係する教科書・参考書などを読み直したり、関係した憲法、民法などの該当箇所について読み直すことが望ましい。必要に応じ、各回において指示をする。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『税法概論〔十九訂版〕』 図子善信 大蔵財務協会 2022年 教科書は、新版が出版された場合は新版を使用する。(2022年の版でも差し支えないように授業を進める予定である。)
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参考書 | 『別冊ジュリスト租税判例百選〔第7版〕』 有斐閣 2021年 指定図書
金子宏 租税法〔第二十四版〕弘文堂2021年。
谷口勢津夫 税法基本講義〔第七版〕弘文堂2021年。
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指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
期末試験またはレポート(70%)、授業中に実施する小テスト及び平常点(30%)
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 第1回 はじめに(ガイダンス、序論) | |
2 | 第2回 租税法とは、税金とは | |
3 | 第3回 租税法律主義、税法の法源 | |
4 | 第4回 納税義務、争訟 | |
5 | 第5回 租税法の解釈 | |
6 | 第6回 所得税法(概要、総論) | |
7 | 第7回 所得税法(各論) | |
8 | 第8回 法人税法(概要、総論) | |
9 | 第9回 法人税法(各論) | |
10 | 第10回 消費税法(概要、総論) | |
11 | 第11回 消費税法(各論) | |
12 | 第12回 相続税法(概要、総論) | |
13 | 第13回 相続税法(各論) | |
14 | 第14回 地方税法 | |
15 | 第15回 国際課税 | |
16 | 第16回 定期試験期間 | |