【主題】
現代日本社会の諸問題とその解決の方向性を、民法、とくに不法行為分野の研究を通じてともに考えていきます。
交通事故、公害・環境問題、医療事故・薬害、名誉毀損・プライバシー・個人情報などの問題を、その背景とともに直視し、民法がそれをどのように処理してきたのかを、判例を丹念に分析して学びます。また、21世紀からの少子高齢化・デジタル化・グローバル化の進行によって問題が複合・複雑化していることを理解し、民法上の理論課題・立法課題を検討していきます。
【指導方針概要】
<ゼミ活動で醸成する能力>
成績はわるくないけれど、話すことが苦手で、グループ活動はつい消極的となってしまう学生を男子・女子を問わず多く見てきました。上記の民法理論の研究、判例検討は、当初は私からのレクチャーを先行させ、徐々にみなさん個人の予習・準備・発表・質疑へ、さらに3~4名の小グループでの検討・プレゼン・意見交換へと進めていきます。これをつうじて、「話す力」「チームワーク力」をつけていきます。
ゼミ全体での法学部ゼミ研究発表会への参加、セメスターを任期とする幹事・副幹事など全ゼミ生が役職を担当してもらいます。
また、民法上の理論・判例を理解して新たな課題に対処できる力とともに、その背景である社会・経済問題への知識もつけていきます。
<就活>
これらの能力・知力は就活のみならず就職後にも不可欠なものです。ゼミ生の進路志望は、民法との関わりがつよく、大卒採用数の男女均等化が進んでいる「銀行・信用金庫・JA・労金」等の金融業界が中心です。公務員併願者も目標達成に向け、地元に貢献している企業への内定を目指すよう指導していきます。
就活に対しては、誰もが不安を持っているでしょう。不安解消のためには、3年初からの早期取り組みがカギです。ゼミ生間で問題意識を共有しながら、進んでいきたいとおもいます。
<研究課題>(判例百選Ⅱなどより)
・認知症患者の起こした事故と家族の責任―JR東海事件
・景観利益―国立マンション事件
・契約侵害―ドーベルマン事件
・製造物責任―イレッサ薬害訴訟
・年少女子の逸失利益と家事労働分の加算
・過失相殺と身体的特徴の斟酌―長い首事件
・過失の意義―大阪アルカリ事件
・因果関係の立証―東大病院ルンパール事件
・医療機関に要求される医療水準の判断―姫路日赤未熟児網膜症事件
など
<資格>
2単位認定となる資格として、国家公務員は「法学検定/行政書士」と「日本語検定2級」、民間総合職の場合は「FP3級/宅建」と「日本語検定2級」を勧めます。国家公務員・県庁受験では「法学検定」を目指して下さい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
テキスト | 『民法4債権各論 判例30!』 中原太郎他 有斐閣 2017 『大学生のための民法条文(第2版)』 大久保紀彦 三恵社 2021 『民法判例百選Ⅱ債権(第8版)』 窪田充見・森田宏樹編 有斐閣 2018 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【学生に対する希望事項】
毎回のゼミへの積極的参加と、授業外におけるグループで集まっての準備、配布資料作成は必須であり、発表内容・方法、ゼミへの貢献を総合的に評価します。ゼミを最優先として、正面から真摯に取り組む学生を求めます。
面接による選考を行います。上記の受講姿勢を重視するとともに、これまでの出席・単位取得状況・成績を含めて判断させていただきます。
事前の質問・相談がありましたら、CCSから連絡ください。