【講義概要】
債権各論の後半である「事務管理・不当利得・不法行為」を扱う。条文数は少なく、比較法も含む学説の展開、裁判例・判例の展開が、ルール形成にも大きな影響を与えてきている分野である。条文重視の学修とともに、これらの特徴を意識しつつ、多面的視点からの立体的講義を進めていく。
民法(財産法)の締めくくりとなる講義であり、契約との関連を意識した民法の研究として、比較法・学説史・裁判例分析などのアプローチについても学んでいく。また、公務員を目指す学生のみなさん向けに、「事務管理・不当利得・不法行為」およびそれと関連する民法の問題演習を授業内および課題として扱っていくこととする。
【学習到達目標】
毎回の講義テーマについて、学説史・比較法・条文・裁判例をベースとした知識が定着している(法的知識の獲得)。実際の事案について、どのような点が争点となり、どの制度・条文が適用されうるかを考察して、指摘できるようになる(多面的な調査・分析能力)。それらのことを、自分のことばで一定の長さでの記述および一定時間での口頭説明ができるようになる(コミュニケーション能力)。
【履修上の注意】
定期試験は実施しません。授業への積極的参加、課題提出、レポート作成などの努力を継続していってください。教科書は毎回持参し、マーカー・書込みなどの作業も惜しまずに行ない、「勉強」をしていくように。
【事前準備学習】
事前学習として、講義テーマにしたがった教科書予習。事後学習として、授業の要点を教科書で確認して適宜問題演習に取組んで復習を行なう。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『契約侵害による不法行為―「契約の尊重」と第三者の範囲』 大久保紀彦 日本評論社 2021 『大学生のための民法条文(第2版)』 大久保紀彦 三恵社 2022 『司法試験から学ぶ民法総則』 大久保紀彦 三恵社 2022 市役所・警察官の教養試験における民法では「民法総則」の出題頻度が高く、債権各論との関連も含めて「司法試験から学ぶ民法総則」の演習問題を扱う。三冊の教科書すべてを授業中、課題提出・レポートに用いるため、必ず用意できる学生の方のみ履修をするように。 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
積極的授業参加と授業への貢献 20点 提出課題 40点 最終レポート 40点 教科書3冊を用意したうえでの課題・レポート提出が必須となります。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 事務管理 | |
2 | 不当利得 | |
3 | 不法行為:709条 過失論 | |
4 | 権利・法益侵害 比較法(ドイツ)伝統的通説の形成 | |
5 | 損害論(賠償範囲画定の因果関係)、消滅時効 | |
6 | 特殊不法行為 | |
7 | 債権侵害による不法行為 | |
8 | 比較法(フランス) | |
9 | 侵害類型化 | |
10 | 学説の展開 | |
11 | 裁判例分析1:区分所有建物、事実と間接損害構成 | |
12 | 裁判例分析2:区分所有建物、直接損害構成 | |
13 | 裁判例分析3:高速道路事故 | |
14 | 契約侵害の視点 | |
15 | 総まとめ・振り返り | |
16 | 定期試験期間 | |