【講義概要】
この講義では、自動車保険や生命保険の仕組みを法的視点から分析します。保険制度および保険契約法の基礎理論ならびに約款論を踏まえつつ、現実に生じている諸問題にどのように対処すべきかを、判例等を素材として具体的に検討します。
皆さんが生活していく中で、保険と何らかの関わりを持つことになります。現に、名古屋学院大学の学生である皆さんは「学生教育研究災害傷害保険」に加入しており、体育会に所属している学生は、これに加えて「スポーツ傷害保険」に加入しています。名古屋市等では、自転車利用者等に対し自転車損害賠償保険等への加入を義務づけています(法的根拠は条例)。住居には火災保険や地震保険が付保されているでしょう。自動車やバイクを運転するには自賠責保険に加入しなければなりません(法的根拠は自賠法)。これを無視して運転すると刑罰が科されることになります。将来結婚したら家族のために生命保険にも加入するでしょう。
保険に加入するとか、保険を付けるということは、法律的に見ると保険契約の締結を意味します。これを規律するのが保険法ですが、各条文の解釈をめぐって多数の紛争が発生しています。また、保険契約の具体的な内容は保険約款という契約文書に示されていますが、その内容の理解は容易ではありません。
この講義では、保険契約や保険約款に関する重要な問題を学習します。そのような学習を通じて、保険法の体系的理解を目指します。また、判例を素材とすることにより、紛争当事者の各主張に耳を傾けた上で、バランスの取れた解釈ができる力を養うことができます。
講義で用いる配布資料には、問題が付いているので、その解答を考えることで、理解を深めることができます。
【学習到達目標】
保険制度の基本的な仕組みと保険制度を支える法的仕組みである保険法に関する問題を解明することができる。保険契約に関連する民法(債権法や相続法)の諸規定の意味を復習・確認することができる。
【履修上の注意】
この授業は、対面形式で行われます。ただし、新型コロナの感染状況によっては、遠隔授業に変更される可能性があります。その場合は、アプリケーションによるTV会議システム(Teams)を使用して実施します。現時点では全く未確定ですが、Teamsを利用することになった場合は、改めてチームコードをお知らせします。
Teamsコードは【3xqjq03】です。
【事前準備学習】
【予習】講義資料に目を通す。
【復習】講義資料添付の問題の解答を作成する。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 配布資料(CCSによる教材提供。オンライン授業になった場合はオンライン配信)を用いるため、教科書はとくに使用しない。 |
参考書 | 『商取引法(第8版)』 江頭憲治郎 弘文堂 2018 『保険法(上)』 山下友信 有斐閣 2018 『保険法』 山下友信 有斐閣 2005 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
定期試験(100点満点)。新型コロナの影響でオンライン授業となった場合はレポート試験に変更。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 保険の意義・保険法の意義 | |
2 | 保険契約の当事者・関係者・保険法の仕組み・特徴 | |
3 | 保険約款の拘束力・解釈原則および消費者契約法 | |
4 | 保険給付の履行期・重大事由解除 | |
5 | 損害保険契約法総論 | |
6 | 損害保険契約の免責事由 | |
7 | 保険代位と損益相殺 | |
8 | 責任保険と自動車保険 | |
9 | 生命保険契約法総論 | |
10 | 告知義務 | |
11 | 他人の生命の保険 | |
12 | 他人のためにする保険(保険金受取人の指定・変更) | |
13 | 生命保険と自殺免責 | |
14 | 傷害保険の保険事故(1) | |
15 | 傷害保険の保険事故(2)・まとめ(質問対応) | |
16 | 定期試験期間 | |