名古屋学院大学シラバス


                シラバス

演習指導概要 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
5限専門演習1通年名古屋 43佐々木 達也LG3101
5限専門演習1通年名古屋 43佐々木 達也LG3101

【授業情報】

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主題

 労働法は、雇用の場において生じる様々な問題を規律する法分野です。労働法は「雇われて働く」ことに関係する法であり、アルバイトをする際に、そして就職活動を含めて就職においても重要となる法領域です。 最近では、長時間、過労死・過労自殺、職場におけるパワハラ、正規労働者と非正規労働者の労働条件格差といったテーマが新聞等において報道されることも多く、労働問題が社会的注目を集めています。さらに現在はコロナウイルス感染症拡大に伴う労働問題が最重要課題となっています。そして、今後において、AIやクラウドワークなど技術の発達により新たな問題が発生することも予想されます。
 本演習は、職業生活の中で直面する問題に法という視点から光を当てることにより、その問題点を明らかにし、いかなる解決方法が考えられるかについて分析・検討することを目的とします。本演習は、まず、文献や論文を輪読することにより労働法の基本的な知識を習得します。次に、その知識を踏まえ、重要判例や最近の裁判例を通して判例研究の方法を学びます。さらに、各自が興味・関心のあるテーマについて調べて報告し、ゼミ生全員で議論します。



指導方針概要

<ゼミの進め方>
 演習の進め方は、担当者がテーマについて報告を行い、その報告に対して質疑、議論をします。報告は個人報告を予定しています。

<本演習の対象>
 労働法は、①個別労働者と使用者との関係を規律する個別的労働法(例えば、労働基準法や労働契約法)、②労働組合と使用者あるいは使用者団体との関係を規律する集団的労働法(例えば、労働組合法)、③失業者等の雇用機会を保障することを目的とした労働市場法(例えば、雇用保険法や労働者派遣法)から構成されています。
 本演習では、上記①~③のすべてを対象としますが、具体的に扱う論点や判例についてはゼミ生が興味・関心を持っているものを選びたいと考えています。また、ゼミ生の興味・関心によっては、労働法以外にも隣接する法領域である社会保障法(医療保険、年金、社会福祉、生活保護など)も本ゼミで扱う対象とします。

<授業計画>
【春学期】
 まず、労働法の歴史と現在、体系と法源など労働法の基礎を確認することからはじめます。次に、「労働判例の読み方」に関するテキストを通して判例研究の方法論を学びます。そして、総論的論点(労働法の適用対象は誰か(労働者・使用者の概念)、労働基本権)を扱った後に、諸論点(採用内定、差別禁止と平等、労働条件の決定と変更、労働時間、賃金、労働契約の終了、労働災害、非正規雇用、労働組合活動など)の検討に移ります。各テーマについて、まず『労働法の争点』で理論的検討をし、次の週に「労働判例百選」を用いて事例検討をします。事例検討はゼミ生を労働者側と使用者側に分けてグループごとに意見交換して、その後に労使で議論することで、労使双方の立場から法的問題を考える力を身に着けます。

【秋学期】
 春学期に引き続き、労働法における諸論点の検討を行います。取り扱うテーマはゼミ生の興味・関心をもとに選定します。
 なお、ゼミ生に希望に応じて、労働法に隣接する法分野である社会保障法(医療保険、年金保険、雇用保険、社会福祉、生活保護など)における諸論点をテーマに設定することも考えています。

<その他>
 本演習はテキストや裁判例を通して労働法の研究をすることを目的としますが、社会保険労務士試験や労働基準監督官採用試験のような労働法を必要とする試験を受験することを考えている学生には、その都度対応したいと考えています。
 今後の状況しだいではありますが、ゼミコンパの開催やゼミ合宿の実施は、ゼミ生の希望を聞いた上で判断したいと思います。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
テキスト『労働法の争点』 土田道夫・山川隆一 編 有斐閣 2014
『労働判例百選〔第9版〕』 村中孝史・荒木尚志 編 有斐閣 2016
『社会保障判例百選〔第5版〕』 岩村正彦 編 有斐閣 2016
受講に際しては、必ず六法を持参すること。 その他、授業中に適宜指示します。
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

学生に対する希望事項

<授業について>
 大学におけるゼミは、論理的な表現力と批判的な読解力の向上を図ること、そしてそれらの能力をもとに自分の意見を発表することでプレゼン能力を鍛えること、すなわち「読み・書き・プレゼン能力」を身に着ける場であると考えています。そのためには、地道に勉強し続けることと毎回のゼミに出席して積極的に発言することが求められます。
 また、演習は、ゼミ生と教員との双方向的な議論を通じて各自が説得的な結論、「正解であろう結論」を導き出すための場であるとも考えています。そのため、間違いを恐れずに発言をすることやどんな些細な疑問であっても質問することを心がけてください。
 演習で習得できる能力は、法学の勉強だけではなく、大学生活全般、さらには大学卒業後の職業生活及び社会生活にも通じる能力であると思います。
 以上のことから、無断欠席や準備不足、ゼミにおいて発言をしない者に対しては厳しく対処するつもりです。
 なお、講義科目である「労働法1・2」も併せて履修することが望まれます。

<成績評価>
 評価は、出席状況、報告内容、発言など議論への参加の程度を総合的に考慮します。