【講義概要】
■ 講義の概要
本講義では,公共経済学の基礎理論を中心に講義を行う.
講義では,まず,はじめに,「ミクロ経済学入門」で学習した厚生経済学の基本定理について,余剰分析を用いたモデルの復習を行って理解を深める.
次に,外部性,公共財,自然独占が存在する場合に「市場の失敗」が生じることを簡単なモデルを用いて説明を行い,それぞれの問題に対する是正策について学習する.
さらに,民主主義の多数決原理,選挙制度,官僚制と利益団体等の存在によって「政府の失敗」が生じる可能性を簡単なモデルを用いて説明した後,「市場の失敗」と「政府の失敗」が共存する場合の経済政策のあり方について学習する.
■ 学部のディプロマ/カリキュラムポリシーとの関係
本講義は,経済学部のディプロマポリシー『知識・技能』のうち,「経済社会が抱える様々な課題に対する関心と問題意識を持つことができる.」,「経済学の基礎的専門知識や分析ツールを使いこなすことができる」,『思考力・判断力・表現力』のうち,「社会を洞察するための論理的思考力をつけ,因果関係の把握や費用便益の比較考量ができる.」,「政治・法律分野とのつながりを理解し,経済社会を多面的に捉えることができる.」,「経済社会の現実における課題を自ら発見し、経済学を基盤とした知識を実際の経済社会へ応用することができる.」を修得することを目的としている.
【学習到達目標】
(1) 受講生が公共経済学の基礎的な理論を理解する.
(2) 受講生が「市場メカニズムの有効性と限界」,および,「政府の市場経済への介入の意義と弊害」について説明できるようになる.
(3) 受講生が公共経済学の基礎理論に基づき,「どのような場合に,どのように市場メカニズムと市場への政府の介入を使い分ける必要があるか?」や「「公共財や公共サービスを供給する上で,市場経済への政府の介入以外の有効な方法とはどのようなものであるか?」について自分の意見を理路整然と説明できるようになる.
【履修上の注意】
(1)講義は各週ごとに対面講義と遠隔オンデマンド(ライブ方式ではない)で行われる.
(2)講義は積み重ね方式になっているので,それまでの講義で習ったことが頭に入っていなければ,講義内容がどんどんわからなくなってしまう.したがって,欠席や遅刻等をしないこと.
(3) 講義では講義資料をプロジェクターで表示しながら講義を進める.
(4) 対面講義中の不必要な私語を厳禁する.何度か注意しても同じ行為を繰り返す場合は,大幅に平常点の減点を行う.
(5) 受講者の講義への積極的な参加を希望する.積極的に意見や質問を行ってもらいたい.
【事前準備学習】
事前学習:
(1)1年次で学習した「ミクロ経済学入門」および「マクロ経済学入門」,2年次以降で学習する「財政学入門」,および,「ミクロ経済学1」の内容についてよく復習を行うこと.
(2)微分等の数学を活用するので,1年次で学習した「経済数学入門」の内容についてよく復習を行うこと.
事後学習:
(1)講義後は講義資料や参考文献の該当箇所を読んで復習を行うこと.
(2)講義で配布される復習問題等を用いて自宅学習を行い,知識を確実なものにすること.
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 本講義では,特定のテキストは使用しません.代わりに,講義資料と復習問題をCCSにアップするので,これらを用いて予習・復習を行ってください. |
参考書 | 『公共経済学15講』 佐藤主光 新世社 2018年 『入門公共経済学第2版』 土居丈朗 日本評論社 2018年 『公共経済学』 小川光・西森晃 中央経済社 2015年 『私たちと公共経済』 寺井公子・肥前洋一 有斐閣 2015年 『公共経済学入門』 上村敏之 新世社 2011年 『政治の数理分析入門』 浅古泰史 木鐸者 2016年 『決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する』 坂井豊貴 ダイヤモンド社 2016年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
平常点30点満点,学期末試験70点満点の合計100点満点で,以下のように絶対評価を行う.
90 点以上の場合 → S,80点以上89点以下の場合 → A,70点以上79点以下の場合 → B,
60点以上69点以下の場合 → C,59点以下の場合 → D
なお,学期末試験を受験したとしても,6回以上の欠席で「受験資格なし」とするので注意すること.
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 講義の概要とガイダンス:公共経済学とは? | |
2 | 余剰分析を用いた厚生経済学の基本定理の復習 | |
3 | 外部性(1):余剰分析を用いた外部不経済の分析とピグ―税による是正 | |
4 | 外部性(2):コースの定理 | |
5 | 公共財(1):公共財の最適供給条件 | |
6 | 公共財(2):公共財のフリーライダー問題 | |
7 | 公共財(3):リンダール・メカニズム | |
8 | 公共財(4):クラーク・グローブス・メカニズム | |
9 | 自然独占(1):公営企業と自然独占 | |
10 | 自然独占(2):自然独占の経済分析 | |
11 | 自然独占(3):自然独占下での価格規制とインセンティブ規制 | |
12 | 政府の失敗(1):民主主義と多数決原理 | |
13 | 政府の失敗(2):選挙制度 | |
14 | 政府の失敗(3):官僚制,利益団体 | |
15 | 授業総括 | |
16 | 定期試験期間 | |