【講義概要】
■ 講義の概要
本講義では，主に，「地方財政の仕組み」と「政府間財政移転の仕組み」について講義を行う．
講義では，まず，「国と地方の役割分担と財政関係」について，データを概観しながら学習する．次に，「地方財政における歳入と歳出の概要」について学習した後，政府部門がどのように地方公共財（あるいは地方公共サービス）を供給することが望ましいかに関する代表的な理論である「地方分権化定理」について学習する．
続いて，「地方交付税」や「国庫補助金」等のわが国における政府間財政移転の仕組みについて学習した後，あるべき政府間財政移転の姿を考察するため，ソフトな予算制約理論等について学習する．さらに，「地方債の仕組み」と「地方財政健全化法」について学習し，地方財政の財政健全化を実現する上でどのような制度設計が必要であるについて学習を行う．
最後に，愛知県総務部財政課職員に「愛知県財政の現状と課題」について，名古屋市財政局財務部財政課職員に「名古屋市財政の現状と課題」についてなるべく対話形式で講義を行ってもらい，受講者と共に，今後のあるべき地方財政のあり方について考察を行う予定である．
■ 学部のディプロマ／カリキュラムポリシーとの関係
本講義は，経済学部のディプロマポリシー『知識・技能』のうち，「経済社会が抱える様々な課題に対する関心と問題意識を持つことができる．」，『思考力・判断力・表現力』のうち，「政治・法律分野とのつながりを理解し，経済社会を多面的に捉えることができる．」，「経済社会の現実における課題を自ら発見し、経済学を基盤とした知識を実際の経済社会へ応用することができる．」を修得することを目的としている．
※ 本講義は，COC地域志向科目である．
【学習到達目標】
(1) 受講生が「地方財政の仕組み」について理解する．
(2) 受講生が「政府間財政移転の仕組み」について理解する．
(3) 受講生が「自分自身が注目する地方自治体の歳入と歳出の概要」について説明できるようになる．
(4) 受講生が「地方債の仕組み」と「財政健全化法」について理解する．
(5) 受講生が自分自身が注目する自治体の財政の現状について理解し，当該地域における今後の地方公共サービスの供給のあり方や財政の持続可能性について他人に分かりやすく説明できるようになる．
【履修上の注意】
（1）講義は各週ごとに対面講義と遠隔オンデマンド（ライブ方式ではない）で行われる予定である（秋学期の講義方法に関しては変更の可能性あり）．
（2）講義は積み重ね方式になっているので，それまでの講義で習ったことが頭に入っていなければ，講義内容がどんどんわからなくなってしまう．したがって，欠席や遅刻等をしないこと．
（3） 講義では講義資料をプロジェクターで表示しながら講義を進める．
（4） 講義中の不必要な私語を厳禁する．何度か注意しても同じ行為を繰り返す場合は，大幅に平常点の減点を行う．
（5） 受講者の講義への積極的な参加を希望する．
※ 公務員試験の受験を考えている学生は，関連の深い科目であるので，是非，受講されたい．
【事前準備学習】
事前学習：
（1）2年次以降で学習した「財政学入門」，および，「財政学」の内容についてよく復習を行うこと．
（2）日頃から新聞を読んだりニュースを見たりしながら国や地方の財政に関心を持つこと．
事後学習：
（1) 講義後は講義資料や参考文献の該当箇所を読んで復習を行うこと．
（2）講義中に配布する復習問題を用いて自宅学習を行い，知識を確実なものにすること．
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、１週間借りることができます。（一部貸出不可の図書もあります。）
| 教科書 | 本講義では，特定のテキストは使用しません．代わりに，講義資料と復習問題をCCSにアップするので，これらを用いて予習・復習を行ってください． |
| 参考書 | 『新しい地方財政論 新版』 中井英雄・齋藤慎・堀場勇夫・戸谷裕之 有斐閣 2020年
『日本の地方財政』 神野直彦・小西砂千夫 有斐閣 2020年
『地方財政改革の現代史』 小西砂千夫 有斐閣 2020年
『ようこそ地方財政―日々の仕事に役立つ地方財政入門』 長谷川淳二 第一法規 2020年
『自治体の“台所"事情 財政が厳しい"ってどういうこと?』 今村寛 ぎょうせい 2018年
『新版 基本から学ぶ地方財政』 小西砂千夫 学陽書房 2018年
『自治体の財政担当になったら読む本』 定野司 学陽書房 2015年 |
| 指定図書 | －指定図書は、登録されていません。－ |
【評価方法】
平常点40点満点（課題の提出），学期末試験60点満点の合計100点満点で，以下のように絶対評価を行う．
90 点以上の場合 → S，80点以上89点以下の場合 → A，70点以上79点以下の場合 → B，
60点以上69点以下の場合 → C，59点以下の場合 → D
なお，学期末試験を受験したとしても，6回以上の欠席で「受験資格なし」とするので注意すること．
【講義テーマ】
| 回数 | テーマ | テーマURL |
| 1 | 講義の概要とガイダンス：地方財政とは？我々の暮らしと地方財政 | |
| 2 | 国と地方の役割分担と財政関係 | |
| 3 | 地方財政における歳入の概要 | |
| 4 | 地方税の種類と分類 | |
| 5 | 地方財政における歳出の概要 | |
| 6 | 地方公共財と地方分権化定理 | |
| 7 | 地方交付税（1）：地方交付税の目的・機能と算定方法 | |
| 8 | 地方j交付税（2）：近年の算定方法の見直し | |
| 9 | 国庫支出金 | |
| 10 | 政府間財政移転の理論 | |
| 11 | 地方債 | |
| 12 | 地方財政健全化法と自治体の財政再建 | |
| 13 | 愛知県の財政の現状と課題（愛知県総務部財政課による出張講義（予定）） | |
| 14 | 名古屋市の財政の現状と課題（名古屋市財政局財務部財政課による出張講義（予定）） | |
| 15 | 授業総括 | |
| 16 | 定期試験期間 | |