【講義概要】
日本国憲法に関する基本的事項を習得します。憲法とは、国家を基礎づける基本法のことを指しますが、「日本国憲法」という法典と同じというわけではありません。つまり、単なるお題目が大事なのではなく、実際にこの社会の仕組みに活かされている実質的な内容を持っているものです。
この授業では、「日本国憲法」が定めている規範が意味する内容を解説していくことになりますが、その際には、憲法の仕組みを、ただ単に知識として知るというだけではなく、それがどうして今あるようなかたちになっているのか、その理由を視野に収めることによって、奥行きをもって理解できるようになることを目指します。そのための素材として、憲法の理念・構造の背景にある欧米の歴史や社会思想なども取り上げる予定です。また、私たちは日常のなかで憲法のありがたみを意識していないし、ありがたみがどこにあるのかを訊かれてもすぐには答えられない、というとてもありがたい状況を過ごしていると思いますので、それがわかりやすくなるように、憲法がない状態をうまく描写している映像資料を用いる予定です。
日本国憲法の仕組みが持っている意味を、私たちの実感に近いところに引き寄せて考えてみることによって、他人事ではなく、自分にとって身近なこと、大切なこととして、憲法(とそれを中心とした法秩序)を捉えられるようにしたいと思います。
【学習到達目標】
・日本国憲法の基本原理に重要な意義があることを理解する。
・憲法に定められた統治機構(国会・内閣・裁判所)がどのような役割を果たしているのかを理解する。
・立憲主義の考え方を理解し、個人の人権を実現するために国家権力を行使することの意義と限界を理解する。
【履修上の注意】
授業中の私語は厳禁します。授業中のスマホ操作は禁止します。
予習の目的は、主に、授業参加者の間で話題を共有し、それについて各自の意見や疑問を持つことにありますので、内容があまり理解できなくても心配しないでください。
なお、社会や国家について知るために、日頃から社会に関するさまざまなニュースに興味・関心を持って接するよう心がけてください。また、人間について知るために、小説、漫画、映画、ドラマ等々、ジャンルを問わず、興味の湧く作品に積極的に触れておくことを勧めます。
【事前準備学習】
【事前学習】
講義テーマの各回補足に示した教科書の箇所を読む。
【事後学習】
授業プリント、教科書を見返しておく。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『プレステップ憲法〈第2版〉』 駒村圭吾(編) 弘文堂 2018 |
参考書 | 『憲法主義:条文には書かれていない本質』 内山奈月・南野森 PHP文庫 2015 『日本国憲法』 長谷部恭男(解説) 岩波文庫 2019 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
① コメントシート 10%
② レポート×2 40%
③ 定期試験 50%
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 憲法の基礎:立憲主義 | |
2 | 憲法の基礎:社会契約説 | |
3 | 憲法の基礎:日本憲法史 | |
4 | 選挙と参政権 | |
5 | 国会の役割 | |
6 | 行政権と議院内閣制 | |
7 | 司法権と裁判制度 | |
8 | 憲法の基礎:違憲審査・憲法改正 | |
9 | 人権の理念・歴史・特質 | |
10 | 人権総論 | |
11 | 幸福追求権 | |
12 | 法の下の平等 | |
13 | 表現の自由 | |
14 | 経済的自由ほか | |
15 | まとめ | |
16 | 定期試験 | |