【講義概要】
この授業では、キリスト教を学ぶことを通して「人間はどのように生きればいいのか」ということを考えます。キリスト教に限らず、古来、宗教は、この世界がどのようなものであり、そこで人間はどのように生きればいいのか、を考えてきました。それが個々の宗教において、祭儀や経典、生活習慣や儀礼などの形で現れ、多様な文化を形づくってきました。そこには、それぞれの宗教の「世界観」「人間観」が表されています。キリスト教では、それは聖書の中に見出されます。ですからこの授業では聖書を中心に学んでいきます。そこに示される考え方に対して、みなさんは肯定、否定にかかわらず様々な意見をもつと思いますが、そのように「知り」「考え」「判断」するというプロセスを、自覚的、主体的に行ってください。それは、みなさん自身が生きていく中で出会う様々な出来事に向きあうための、一種の練習になります。なぜなら聖書には、良いところも悪いところも含めて、様々な人間の姿が描かれており、そのような人間たちが、様々な困難や苦しみや喜びに出会っているからです。このような「人間について考える」ための素材や方法を提供するのがこの授業の目的の一つです。
また、聖書に描かれているイエスの生き方は、建学の精神である「敬神愛人」を具体的に生きたものでした。それがどのようなものだったのかを考えるキーワードの一つが「隣人」です。それは、他者と共に生きることがどのようなことなのかを考えさせるものであり、わたしたちが生きている現代の諸課題、たとえば生命倫理や多文化共生といったことを考えるうえでも重要な視点を与えてくれます。ここでもわたしたちは、主体的に考えることを求められます。なぜならイエスの言葉や行動は、わたしたち一人一人に自分の生き方を問いかけるものだからです。
以上をふまえ、キリスト教を学ぶことを、みなさん自身が自分の「世界観」「人間観」を形成するための、一助にしていただきたいと思います。
【学習到達目標】
・キリスト教に関する基礎的な知識を獲得し、その世界観、人間観を把握します。
・それらの考察を通して自分自身の世界観、人間観を捉え直します。
・以上をふまえて、現代のわたしたちが向きあっている諸課題にどのようなアプローチが可能なのかを考察します。
・宗教が人間にとってどのような意味をもっているのかを考え、宗教という営みをなす人間とは何かを探求します。
【履修上の注意】
・授業への積極的な参加を心がけてください。
・課題(リアクションペーパー、小テスト、小レポートなど)に取り組むときは、自分の考えを、自分の言葉で、読む人に伝わるように考えて書いてください。
・受講上の注意点、評価方法などを説明しますので、第1回目の授業には必ず出席してください。
【事前準備学習】
事前学習:CCSを通して次回の授業の概要、キーワードなどを提示しますので、それについて自分で調べて理解しておいてください。
事後学習:15回の講義が一つのつながりになっていますので、毎回の授業内容を振り返り、前後の関係・文脈の中で把握してください。その中で自分が興味をもったトピックなどについて自分で調べて理解を深めてください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『聖書(新共同訳)』 日本聖書協会 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
平常点40%、試験60%。
平常点は課題(リアクションペーパー、小テスト、小レポートなど)の提出、試験は学期末の筆記試験(持ち込み不可)によって評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 宗教を学ぶことの意味 | |
2 | 聖書の「世界観」「人間観」 | |
3 | 原初物語 | |
4 | 族長物語 | |
5 | 出エジプト | |
6 | 王国の成立と滅亡 | |
7 | ヘレニズム時代からローマ時代へ | |
8 | イエスの誕生 | |
9 | 伝道の始まり | |
10 | 重い皮膚病を患っている人をいやす | |
11 | 見失った羊 | |
12 | 善いサマリア人の譬え | |
13 | 十字架への道 | |
14 | イエスの復活 | |
15 | キリスト教の成立 | |
16 | 定期試験期間 | |