【講義概要】
平和を求めるはずの宗教同士がなぜ戦うのか。戦争を宗教の視点から考察する場合、問題の一つになるのは正義に対する考えである。平和を実現するために、互いに信じる正義を行使した時、どう対立した同士が譲り合い、解決をするか、ということである。正義論はキリスト教のみならずイスラームにも見られる。この問題について、本科目では戦争をめぐる絶対平和主義、正戦論、聖戦論がキリスト教史の中でどのように理解、受容されているのか概観し、キリスト教のみで平和思想を自己完結するのではなく、イスラームとの比較宗教の視点から正義論の相違を紹介する。その上で日本の戦争平和理解の立場を考えたい。戦争をする、しない、という二者択一に解決策を求めるのではなく、他者の認識構造を知ることで、絶対平和主義と正戦論との間に、他者の正義を自己の正義として受け止められる選択肢の可能性を紹介したい。
【学習到達目標】
比較宗教学的観点から、日々世界で生じているテロ、紛争、戦争などの問題を考察し、異なる宗教や信仰、教義をもつ者同士が、いかに国際社会の中で共存と共生をしていくのか考察をするために必要な認識を得ることを目的とする。
【履修上の注意】
この授業は、対面(面接)授業と非対面授業を隔週で実施し、非対面授業を、CCSを活用した基本型授業とTV会議システム(Teams)を併用して実施する。
【Teamsコード】 hxwrkc8
・初回の講義で、評価方法や出欠の取り方などを含めた履修上の注意事項を説明する。
・講義内で配布したプリントはすべてCCSの教材BOXにアップロードする。やむを得ない理由で講義を欠席した場合、あるいは復習のために活用すること。
【事前準備学習】
図書館(名古屋キャンパス・瀬戸キャンパス)に所蔵されている宗教と平和、宗教と戦争に関する書籍を通読すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『人はなぜ平和を祈りながら戦うのか?―私たちの戦争と宗教』 星川啓慈・石川明人 並木書房 2014 『原理主義から世界の動きが見える─キリスト教・イスラーム・ユダヤ教の真実と虚像』 小原克博・中田考・手島勲矢 PHP研究所 2006 講義内で適宜紹介する。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
授業への主体的参加と発言:20点
毎回授業で配布するコメントペーパーの内容:30点
レポート:50点
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 人はなぜ平和を祈りながら戦うのか | |
2 | 「戦争」とは何か 宗教と戦争の関係 | |
3 | 「正義」「暴力」「平和」の概念 | |
4 | 正戦論(1) 歴史的経緯 | |
5 | 正戦論(2) キリスト教とイスラームの視点 | |
6 | 聖戦論(1) 十字軍、ジハード | |
7 | 聖戦論(2) 近代日本 | |
8 | 絶対平和主義(1) 歴史的経緯 | |
9 | 絶対平和主義(2) 非暴力を実践した人々 | |
10 | 戦いの中の矛盾(1) 軍事大国アメリカの宗教 | |
11 | 戦いの中の矛盾(2) キリスト教史の中の暴力と迫害 | |
12 | 平和への葛藤(1) テロをめぐる善と悪 | |
13 | 平和への葛藤(2) 戦うことは許されないのか | |
14 | 平和への葛藤(3) 政教分離、宗教の自由をめぐる国際的論争 | |
15 | まとめ 世界の諸宗教の平和運動 | |
16 | 定期試験期間 | |