【講義概要】
世界保健機構(WHO)によって健康を単に疾病又は虚弱でない状態ではなく、肉体的・心理的・社会的にも健やかな状態(well being)として定義されて以来、身体的健康に加えて心的・社会的安寧も健康を捉える上で重視されるようになった。ストレスが健康に及ぼす影響に関する学術的検証が進み、ストレスと身体的・精神的疾患との関連が明らかとなり、ストレスマネージメントが疾患の予防及び健康の維持・増進に重要な役割を担うことが強調されている。
本講義では、健康における心身の相互作用、ストレスと健康の関連、個人の性格・行動パターンが健康に及ぼす影響に関する先行研究のさまざまな知見を紹介し、健康に関連する基礎的な諸概念を紹介する。また、心理学的観点に基づいて健康問題のアセスメント方法について概説する。そして、健康行動の自発的な形成と実践を促すための行動形成モデルやその際に重要な要因・変数について紹介すると共に、疾病の予防や健康の維持・増進および不健康状態からの自発的な改善に向けた支援方法について概説する。なお、災害等によるPTSD、心身症、生活習慣病等の様々な健康問題に対する心理学支援の問題のほかにも医療・産業・地域における保健に関連したトピックスについて概説する。医療・産業分野の保健、地域社会における保健、災害時の支援に関連しての心理職としての専門的な技能や役割について概説すると共に、その際の多職との協働・連携について概説する。
※教員の事務経験:認定臨床心理士
※実務経験を活かした教育内容:認定臨床心理士としての実務経験と研究経験に基づいて心の健康とその支援について講義を行う。
【学習到達目標】
1)健康・医療心理学における基礎理論ならび基礎概念を習得する。
2)健康・医療心理学の様々な分野における心理職の役割について理解する。
3)心身の健康に対する医療・地域保健分野での多職種間協働・連携について理解する。
4)受講者自身の健康問題やQOL(Quality of Life)について再考する。
【履修上の注意】
Teams参加コード mpf0bot
①オンライン授業の場合、CCS教材ボックスの資料を授業前にダウンロード・プリントアウトしておくこと。
②毎週授業後に実施する小テストを受けること(携帯でも回答可能)。
⇒「出欠の確認」ならび「平常点」の評価資料となる。
⇒制限時間後、追加受け付けはできないので、要注意!
③Teamsオンライン授業の際は、カメラとマイクをオフにして参加すること。
④オンライン授業の際は、集中できる静かな環境で受講すること(~ながら受講は厳禁!)
【事前準備学習】
CCS教材ボックスの資料を事前に読んでおくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 2006 |
参考書 | 『健康行動と健康教育―理論、研究、実践』 Karen Glanz (編) 医学書院 2011 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 健康の定義と健康心理学の台頭の背景 | |
2 | 健康行動における理論とアセスメント方法 | |
3 | ストレス反応の生理学的仕組みとその意味 | |
4 | 生活ストレスと健康との関連:ライフイベントとデイリーハッスルを中心に | |
5 | ストレスマネジメント法:コーピング戦略としての運動の意味を中心に | |
6 | 健康行動における自己コントロール:学習性無気力とその回復 | |
7 | 生活習慣と健康との関連:QOL、肥満、メタボシンドロームを中心に | |
8 | 健康教育の定義とその実践 | |
9 | 健康カウンセリングの定義 | |
10 | 健康カウンセリングの実践:認知行動療法を中心に | |
11 | ストレスと精神疾患との関連 | |
12 | 精神障害の診断と治療Ⅰ:うつ病を中心に | |
13 | 精神障害の診断と治療Ⅱ:不安障害・適応障害を中心に | |
14 | 心身の健康支援におけるチーム医療の重要性と多職種連携:リエゾンとコンサルテーション | |
15 | 災害時に必要な心理的ケアと支援 | |
16 | 定期試験 | |