【講義概要】
元来,経済学だけでなく,あらゆる学問における理論の構築は,その土台として歴史研究が重要な位置を占めている。実際に,様々な分野に関する「古典」の多くが歴史的知見に裏づけられた理論として体系化されているからである。
正確に歴史的諸事象を理解するためには,原因・過程・結果を総合的に捉えることが要求される。とりわけ「時間軸」に対する考慮が適切でなければ因果関係を把握することができない。経済史も同様であり,特に経済学の知見をベースにして過去を理解する学問であるが,単なる暗記とは異なり,社会科学的「思考」を養う役割を担っている。その思考とは,「社会を洞察するための論理的思考力」である。
こうした背景から,経済史を学ぶことで,「経済社会が抱える様々な課題に対する関心と問題意識を持てる」考え方・視角を養うことが狙いである。
本講義では,歴史的側面から欧米とアジアの経済的関係を概観し、その特質を理解するための世界観と知識を養いたい。ただし,古代から現代までを網羅的に扱うことは困難であるため,特に現代に大きな影響を与えた「近世・近代」を中心とした内容を紹介したい。
本講義での中心テーマは,「アジアとヨーロッパの関係」である。この二つの地域がどのような形で経済的関係を形成したのかを時間軸に沿って見ていくと,今までとは異なる「世界」が見えてくる。その「世界」がもたらした影響は,現代にも色濃く残されている。そのため,学ぶ内容こそ過去の事象であるが,それを知ることによって現代世界への理解が深まるのである。
【学習到達目標】
・歴史的事象を経済学の知識によって考えることができる。
・現代世界の諸問題について,その原因と歴史的経緯を理解することができる。
・資本主義とは何か説明することができる。
【履修上の注意】
受講にあたっての注意事項を最初の時間にお話しします。
非対面の授業は,基本的にTeamsとCCSで行いますので,事前に参加コードを確認してアクセスして下さい。
参加コードは,「jdt8bly」です。
大学側の授業方針が変更になった場合,本講義もそれに従って変更される場合があります。
また,授業進度によっては内容が前後,もしくは変更する可能性もあります。
【事前準備学習】
事前:世界地図(できれば世界史地図)を見てユーラシア大陸の地理的・気候的特性を調べておくこと。
インド・東南アジア各地域の農業生産物の特徴を確認しておくこと。
事後:第2回目以降, 原則としてminutepaper で課題を出すので,指定期日までに解答すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 特に無し |
参考書 | 『世界史年表・地図』 亀井高孝・三上次男・堀米庸三・林健太郎編 吉川弘文館 2006 この参考書でなくてはならない理由はありませんが,講義の内容を理解する上で世界史地図は役に立ちます。もし高校の時に購入した類似のものがあれば,それでも構いません。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
課題+確認テスト 70% 平常点 30%
大凡の目安として,このようなバランスで評価したいと考えています。
定期試験は行いません。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | はじめに ~経済史の学び方~ | |
2 | 東西洋の歴史認識 ~貧しいヨーロッパ・豊かなアジア~ | |
3 | 地理的環境に基づく経済行動について ~貿易と特産物~ | |
4 | 大航海時代とアジア・新大陸 | |
5 | 確認テスト1(オンライン) | |
6 | 香辛料と東インド会社 | |
7 | 棉花のインパクト | |
8 | アジアが引き起こした産業革命 | |
9 | 確認テスト2(オンライン) | |
10 | 19世紀のアジア ~中国とインド~ | |
11 | アヘンを巡る英中の関係 | |
12 | 中国の開港による社会経済的変化 | |
13 | 帝国主義時代における社会経済的変化 | |
14 | 第一次世界大戦とアジア | |
15 | 確認テスト3(オンライン) | |
16 | 定期試験期間 | |